腎臓・膠原病内科

腎臓・膠原病内科の紹介・特色

 
主任医長:荒木 英雄
主任医長:荒木 英雄

 透析患者数は年に約1万人ずつ増加し、2014年末では約31万人となり、全国民の約420人に1人が透析患者となっています。今後もさらに増加が続くと予想されています。この背後には膨大な数の慢性腎臓病Chronic Kidney Disease (以下CKDと略します) の方が予備軍として存在しており、日本腎臓学会では約1,300万人がCKDと推定しています。
 CKDは初期には軽度の血尿や蛋白尿や、血清クレアチニンの上昇で始まることが多いのですが、自覚症状は全くないことがほとんどです。
 IgA腎症をはじめとした慢性糸球体腎炎、糖尿病、高血圧、膠原病など様々な疾患が原因となり、腎臓の病気が進んでいきます。早期診断と早期治療が重要です。

 2016年1月より、科の名称を“腎臓内科”から“腎臓・膠原病内科”に変更しました。リウマチ・膠原病は様々な臓器が障害される可能性があり、内科の各専門科や、整形外科、皮膚科などと連携して診療する必要があります。各科と協力、連携し、総合病院の特性を活かしてリウマチ・膠原病の診療に取り組んでおります。

 腎臓・膠原病内科は検尿異常から腎不全治療までの広範な腎疾患と、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスや血管炎症候群などをはじめとする、様々な膠原病に対して、幅広く診療を行っております。
 

1.血尿と蛋白尿の双方が陽性の場合は、活動性の高い腎炎の可能性を考えます。

 全国で年間約3万8千人の方が新たに透析を始めています。一番多いのは糖尿病を原因とした糖尿病性腎症ですが、第2位は慢性糸球体腎炎で、約9千人弱になります。そのうち4割程度がIgA腎症と推定されます。
 血尿と蛋白尿の双方が継続して陽性の場合、IgA腎症である可能性が考えられます。IgA腎症は当初は予後が悪くない疾患と考えられていましたが、発症後20年を経ると腎不全を呈することが多い疾患であることが明らかになりました。近年、扁桃摘出+ステロイド・パルス療法(扁摘パルス療法)が有効である成績が多数報告されています。当科でも著効例が多く、IgA腎症は治癒を目指す疾患になっています。扁摘パルス療法は発症後、早期であるほど寛解率(検尿所見が正常化すること)が高いことが報告されています。検尿異常を指摘された場合は、早期の診断、治療が重要と考えます。

2. 腎臓病の診断のため、腎生検を積極的に行っています。

 血尿と蛋白尿の双方が陽性の場合や、蛋白尿が1日0.5g以上あれば、腎生検の適応が考えられます。腎生検は日本全国で年間約1万人の方が受けている一般的な検査で、得られる組織の情報は非常に有用です。腎生検は約6日間の入院で行うことが可能です。検査について、詳しく説明いたします。

3. 慢性腎臓病(CKD)の方をかかりつけ医と連携して診療しています。

 CKDは将来腎不全が進行するリスクのみならず、心臓病や脳卒中などの心血管疾患にもなりやすいことが明らかになっています。いかにCKDを治療し、心血管病などの合併症を予防するかが大きな問題です。前述のように、膨大な数のCKD患者さんがいると推定されますので、かかりつけ医と連携して診療しています。

4.多発性嚢胞腎の診断、治療を積極的に行っています。

 多発性嚢胞腎は、透析導入の原因となる主要な遺伝性の腎疾患です。これまで特に治療法はありませんでしたが、内服薬のトルバプタンによる治療法が保険適応となり、良好な成績も報告されてきております。多発性嚢胞腎が疑われる方は、受診して頂ければと思います。診断やトルバプタンの適応について考えていきます。

5. 腎不全教育入院プログラムを行っています。

 腎機能障害が進行した場合は、腎不全進行の遅延や将来の透析療法のスムースな導入を目指して、腎不全教育入院プログラムを行っています。進行を遅延させるためには血圧コントロール、糖尿病の方では血糖コントロールも重要です。腎不全の知識や食事療法の指導、服薬指導などを、看護師、栄養士、薬剤師と協力して取り組んでいます。慢性腎不全を診断された場合、短期で良いので一度入院をお勧めします。

6.透析導入について

 各種治療にもかかわらず末期腎不全に進行した場合には、透析(血液透析または腹膜透析)を始めることになります。透析導入に際しては十分な説明を行い、心臓血管外科、泌尿器科の協力のもと、血液透析療法、あるいはCAPD(持続的携帯式腹膜透析)療法を導入しています。尿毒症が進行する前に内シャント手術などの準備をしておくことも重要です。

7.血液浄化療法室では、急性期を中心とした様々な治療を行っています。

 血液浄化療法室では急性腎不全、敗血症性ショックなどの急性期血液浄化療法、各種の血漿交換療法、血液疾患に対する末梢血幹細胞採取、合併症のある維持透析、そして新規血液透析導入を中心に行っています(慢性期維持透析については、基本的に他の透析施設をご紹介させて頂いています)。

8.小児の腎臓病に対しても小児科と連携し、力を入れています。

 紫斑病性腎炎やIgA腎症などを小児で発症された方や、ネフローゼ症候群、急性腎不全、慢性腎不全についても小児科と協力して診療しています。

9.リウマチ・膠原病領域を積極的に診療しております。

膠原病
 膠原病とは、全身性エリテマトーデス、強皮症、血管炎などをはじめとする全身性自己免疫疾患の総称です。皮疹、関節炎、糸球体腎炎、間質性肺炎などを認め、全身の様々な臓器が障害される可能性があります。同じ診断名でもそれぞれの症例で疾患の活動性が異なり、障害される臓器や程度も千差万別です。診断は症状や経過、採血や画像所見を総合的に判断して行うため発症早期の段階では診断が困難なことがあります。
 多くは難病指定されており、未だ治療の難しい疾患も多いですが、内科の各専門科や、整形外科、皮膚科と協力して治療していきます。患者さんとよく相談しながら、それぞれの患者さんに合った治療を選択し、できる限り通常の日常生活を送って頂くことを目標に努めていきます。

関節リウマチ
 手指や足趾の関節の腫脹、疼痛から始まり、多発性の関節炎を起こす疾患です。関節リウマチの治療は生物学的製剤の登場により大きく進歩しており、従来の経口リウマチ薬では十分に改善させることが難しかった患者さんでも寛解状態(炎症が落ち着いた状態)の達成を目指すことが可能となりました。現在では、関節リウマチを早期に診断・治療することで関節変形を起こさないように治療することが目標となっています。
しかしながら、間質性肺炎をはじめとした合併症を患っているような患者さんや高齢の患者さんでは感染症などの危険性もあり慎重に治療方針を検討する必要があります。当科では他科と連携しながら総合病院の特色をいかしたリウマチ診療をおこなっていきたいと思います。

診療(手術)実績

(件数)
  平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年
腎生検 28 48 48 32 25 38 29 33 28
維持透析新規導入 36 62 49 47 40 49 49 51 46

対象疾患名

ネフローゼ症候群(微小変化群、膜性腎症など)、慢性糸球体腎炎(IgA腎症、巣状糸球体硬化症など)、急性糸球体腎炎、急性腎不全、慢性腎不全、多発性嚢胞腎やその他の腎疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(ループス腎炎)、血管炎症候群(顕微鏡的多発動脈炎など)、シェーグレン症候群、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、ベーチェット病など。

医師紹介

外来担当医師表

施設認定

日本腎臓学会研修施設
日本リウマチ学会認定研修施設
日本透析医学会専門医制度認定施設

お知らせ

外来の待ち時間が長くなることがあり、ご迷惑をおかけしています。急な紹介などのため、予約時間より大幅に遅れることもあります。安定した状態の方にはかかりつけ医、連携医にご紹介させていただきますので、よろしくお願いいたします。