精神科

精神科の紹介・特色

 現代のめまぐるしく変化するストレス社会では、最近、国が精神疾患をがんや脳卒中などと並ぶ五大疾病の一つに指定したように、精神疾患の概念や病態はますます多様化し拡がり、迅速・適切な対応が不可欠になっています。厚生労働省の精神保健医療福祉の改革ビジョン(2004)には、「入院から地域社会への展開」という方向性が掲げられ、精神病床の機能分化や、早期退院・社会復帰を目指した入院期間の短縮、地域との連携強化など、より効率的な治療体系が求められています。福井県内でも病床を持たない精神科クリニックが増え、症状の軽い患者さんが随分受診しやすくなっている反面、救急・急性期や重症の患者さんを受け入れる医療機関が少ないのが現状です。

 県立病院 こころの医療センターは、精神科、心身医療科、デイケア科、作業医療科から構成され、精神科救急病棟、精神科救急合併症病棟、重度難治性病棟、地域包括支援病棟、アルコール依存症治療プログラム、心身ストレスケア、多職種訪問支援などの機能分化した病棟や、診療体制および地域包括ケアシステムを有し、急性期から社会復帰へとつなぐ多職種協働チーム医療での心の診療やリハビリに力を注いでいます。

 また、救急医療、心身医療、緩和ケア、災害医療などの面で、精神科は、診療部門の枠を超えた病院横断的に重要な役割を果たしています。当科では、一般身体科と隣り合った総合病院機能上のメリットを活かし、高度な医療技術や設備を駆使した地域社会に開かれた精神科医療を展開してきました。しかしながら、つい最近まで全国的に総合病院精神科の病床は、削減や閉鎖の一途を辿り、医療経済的な評価の低さによる採算性の問題や多忙化など、労働環境の悪化に伴う精神科勤務医の減少などが、その要因として挙げられます。このような危機的状況に対して、ここ数年、総合病院精神科医療を評価する医療政策上、および診療報酬上の改定が相次ぎ、総合病院精神科の果たす役割の重大さが再認識されています。

 これら、精神医療変革の潮流を見据えて、2018年1月より、こころの医療センターを再編・重点化して、①5病棟279床から4病棟198床へ病床削減・再整備 (全国10番目中部地方初の精神科救急合併症病棟開設 (2007年既設の精神科救急病棟との併設は全国2施設目) 、これらを支える地域包括支援病棟および重度・難治性病棟の強化) 、②三次救命救急センター併設の有床総合病院精神科の特徴を駆使した精神政策医療 (ハード救急、身体合併症、アルコール依存症、当院で年間約300人が搬送される自殺未遂者ケアなど) へのさらなる重点化、③不安定な退院早期における多職種訪問看護・地域包括ケアシステムの強化 (精神科救急および精神科救急合併症病棟の運用に不可欠な要件である90日以内の早期退院と再入院抑止の徹底) を推進します。

 当科の特色として、「心身両面からの全人的な高度急性期医療」を実践していることが挙げられます。総合病院には内科、外科、小児科、産婦人科、整形外科などいろいろな診療科があり、種々の検査や診察・治療を受けることが可能です。心の病気は、心だけでなく身体にも様々な症状が出ることがあります。また、逆に身体の病気に心の症状を合併することも高い頻度で認められます。他の身体科との緊密な連携によって、より広くより柔軟に、心身両面の病態に対応することが可能です。

 現代のストレス・高齢化社会において、救命救急センター患者の10%程度は自殺企図やうつ病・認知症などの精神科関連と言われ、福井県では精神科救急情報センターを中心に、夜間・休日の精神科救急医療当番病院システムが整備されています。福井県立病院は、県内唯一の三次救急総合病院であるという特性上、県内全域から身体合併症を含む緊急・重症な精神疾患の方が、集中的に紹介・搬送されてきます。これらに迅速に対応するため、前述の再編において、2007年からの精神科救急病棟に加えて、心身両面から緊急措置を要する精神科ハード救急や自殺未遂者などの重症な身体合併症の患者さんのための精神科救急合併症病棟を2018年から開設し、地域の喫緊・多様なニーズに応えるべくフル稼働しています。患者さんが、速やかに病状回復し早期の社会復帰が図られるよう、医師、看護師、精神保健福祉士、心理士、作業療法士、理学療法士ら多職種協働のチーム医療で治療にあたっています。

 再編により、当科内外の連携・総合的な機能が高まり、「抱える医療」から「つなぐ医療」へとシフトして、三次救命救急センター併設の有床総合病院精神科の特性を、最大限に活かした県内精神医療の連携拠点として、急性期中心の包括的多職種チーム医療の充実、および患者・家族が安心して地域で生活できる社会の実現に取り組んで参ります。

 外来は、以前には、一日平均二百名を超える患者さんが受診されて、待ち時間が長いと不評でした。このため、外来紹介予約制を導入し、患者さんの病状や経過によっては、通院の利便性の良い他の医療機関を紹介しました。また、外来診療を原則午前中として、午後は緊急・重篤な患者さんなどを中心とした病棟業務に重点を置く体制としました。その結果、平成29年度の外来患者数は一日約百数十名となり、一人当たりの診療時間を確保する効果も生んでいます。外来機能の充実のため、今後も、地域医療連携の流れを着実に推進していきたいと考えています。

診療実績

平成29年度、こころの医療センタ-診療実績
一日平均入院患者 約160
平均在院日数 約120
一日平均外来患者数 約120

対象疾患

統合失調症、妄想性障害
気分障害、うつ病、躁うつ病
不安障害 (全般性不安障害、適応障害、社交不安障害、強迫性障害など)
症候性・器質性精神疾患 (認知症やせん妄を含む)
心身ストレス関連障害・身体表現性障害
アルコール・薬物関連障害
自殺未遂者ケア
精神保健福祉法の措置入院・応急入院
不眠症

精神科での主な治療法

薬物療法(標準的なガイドラインを踏まえた薬物選択)
治療抵抗性統合失調症に対するクロザピン療法
認知行動療法
SST、心理教育・疾患教育
アルコール依存症リハビリテーションプログラム(ARP
修正型電気けいれん療法
デイケア
精神科作業療法
内観療法

医師紹介

外来担当医師表

施設認定

応急入院指定病院
医療観察法指定通院医療機関
日本精神神経学会精神科専門医研修施設
日本老年精神医学会専門医制度認定施設
日本総合病院精神医学会専門医制度研修施設

お知らせ

 精神医療変革の時代を迎え、現代のストレス・高齢化社会では精神疾患の概念や病態は、ますます多様化し拡がり、迅速・適切な対応が不可欠になっています。当科は、総合病院として他の診療科や様々な県内精神科医療機関との密接な連携の中で、心身両面に配慮した全人的な医療の提供と、多職種協働のチーム医療により、地域社会に開かれた高度急性期精神医療に取り組んでいます。早期発見・早期治療が大切ですので、お気軽にご相談ください。相談は精神科・心身医療科外来、医療生活相談室、「なんでも相談」で承っています。