外科・がん医療センター

外科の紹介・特色

道傳 研司
中央医療センター長:道傳 研司

 当科は、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆道、膵臓、肺、乳腺、甲状腺などの手術が必要な疾患を診療しています。癌などの悪性腫瘍を取り扱うことが多いのですが、胆石症、ヘルニア、急性虫垂炎、イレウス、肛門疾患、気胸などの良性疾患の診療も行っています。各分野の安全で先進的な治療を取り入れるために、1)食道・胃、2)大腸・小児外科、3)大腸・肛門、4)肝・胆・膵、5)呼吸器、6)乳腺の6グループに分かれて実際の診療を行っています。各グループは専門学会の指導医・専門医を取得したリーダーを中心として、内科、放射線科、病理診断科、緩和ケア科などと連携し、きめ細かな診断・治療が可能な体制を取っています。

 毎週、月、水、金曜日の朝にキャンサーボードと術前カンファレンスを行い、個々の患者様の治療方針の整合性・合理性を検討しています。各分野で内視鏡手術の導入とクリニカルパスを導入し、治療の低侵襲化、標準化を計ることで、平均在院日数は11日前後となっています。

 患者さんの病状に応じて、がん地域連携パスの運用や地域のかかりつけ医の先生方との病診連携にも積極的に取り組んでいます。

 また、平成25年4月1日より、がん医療センターの外来がリニューアルし、こころの医療センター1階に移設されました。胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌の外来が移動しましたので、患者さんのご紹介の際はご留意ください。

各グループの特徴

1.食道・胃グループ

 宮永・奥田を中心に3名の体制で胃癌、食道癌の診療を中心に行っています。基本的な方針はガイドラインに基づきますが、術前の診断をしっかり行い、患者さんには術後のQOLを重視した治療方針を考えていくように努めております。胃がん症例は、内視鏡的粘膜切除術(消化器内科)(約120例/年)、腹腔鏡下胃切除術(約50例/年)、開腹胃切除術(約50例/年)、化学療法(約20例/年)、腹腔鏡内視鏡合同手術(数例/年)などを行っています。食道がんに関しては、ガイドラインに従い0期は内視鏡的粘膜切除、Ⅰ期は右開胸開腹食道亜全摘を中心とした根治術、Ⅱ-Ⅲ期は術前化学療法施行し、根治術を予定しております。また希望に応じて、先進的な陽子線治療を含めた放射線化学療法も行なっております。昨今の高齢化に伴い、周術期管理は術前から呼吸器リハビリなどを施行、適宜ICU管理も行い、質の高い診療を心がけております。クリティカルパスの導入により、術後は約2週間で退院可能となっております。

2.大腸グループ

 服部・道傳・平沼を中心に大腸癌の診療を主体に行っております。大腸癌の手術件数は年間で約150例です。病気の部位や進行度によっては外来での化学療法や術前化学放射線療法を積極的に行い、手術に必要な患者さんには「よりからだに優しく、きめ細かい」治療をモットーに腹腔鏡下手術を積極的に行っております。人工肛門になるときは、専属看護師が術前より積極的に介入し、術後も快適に過ごせるよう配慮しております。

 単孔式腹腔鏡下手術は、臍を縦に約2.5cm切開しそこから3-4本の器具を挿入して行います。1ヶ所だけの切開創であり、従来の腹腔鏡下手術より傷口が少なく腹壁の破壊が少ない単孔式腹腔鏡下手術も行っています。

3.肝・胆・膵グループ

 橋爪・前田を中心に診療を行っています。胆石症などの良性疾患に加え、肝臓癌、胆道癌、膵癌などの悪性疾患の治療を行っております。この領域の疾患を持つ患者様は、背景に慢性肝疾患、閉塞性黄疸、膵炎などを併発していることが多く、病態が複雑で必ずしも手術だけで全て解決できるわけではありません。特に悪性疾患では、手術と化学療法や放射線治療を組み合わせた集学的は治療が重要と考えています。当院の特徴である陽子線治療も含めて適応のある症例には積極的に施行しています。消化器内科、放射線科、病理診断科と緊密に連携して診療に当たっています。
 年間手術症例は、胆嚢摘出術が約120例、肝切除は約30例、胆道・膵切除が約20例です。高難度とされる術式が多い領域ですが、患者様の安全を第一に考慮し、正確でより質の高い治療を提供できるよう心がけています。
 また、胆嚢摘出術に代表される腹腔鏡下手術が最初に導入された分野であり、当科でも早くからこのような低侵襲手術を積極的に行ってきました。最近では、肝臓や膵臓の手術においても腹腔鏡下手術を導入しております。特に肝切除では、腹腔鏡下手術が多くの術式で保険収載されました。腹腔鏡下肝切除は、適応を厳選すれば、患者様にとってメリットの多い手術と考えており、全国規模の多施設共同研究に施設登録を行い積極的におこなっています。

4.呼吸器グループ

 清水・高山が担当し、肺癌(原発性、転移性)を中心に気胸、縦隔腫瘍、膿胸などを対象に診断から治療までを行っております。胸腔鏡を用いた体に優しい低侵襲手術を積極的に取り入れると共に、呼吸器内科、放射線科、病理診断科、理学療法部など他部門とも連携して患者さんにとって最高の医療を実践できるように心がけております。

 肺切除術などでは、従来、広い術野で直視下に手術を行うために大きな皮膚切開と肋骨の切断を必要としていました。当科では胸腔鏡手術を取り入れ、「病気がきちんと治る手術が安全に行われること」を前提に「できるだけ小さい創で、できるだけ痛くない手術」を行っております。そのための様々な手術器具の開発や手技の工夫にも取り組んでいます。また、肺癌に対しては、術前に3D-CTアンギオグラフィで肺血管の構築を行い、より詳細な解剖を把握し、適応を吟味した上での積極的な肺区域切除と選択的リンパ節廓清を導入し、肺機能の温存を計っております。

 年間症例数は、肺癌約65例(原発性肺癌55例、転移性肺腫瘍10例)、自然気胸は約30例、縦隔腫瘍は約10例、その他15例の計120例です。症例や進行度によっては3ポート完全胸腔鏡下手術を導入しておりますし、最近では更なる低侵襲手術を目指して、単孔式手術や細径鉗子を用いた手術にも取り組んでおります。

 入院はほぼ全ての疾患にクリニカルパスを使用し、手術の翌日から歩行、食事を開始し、点滴を終了しています。これまでに90%以上の患者さんが術後1週間以内での退院が可能となっております。

5.乳腺グループ

 現在の診療体制は、大田・伊藤の2人体制であり、いずれも乳癌学会乳癌専門医およびマンモグラフィ読影資格を有しています。専門外来として、月曜日から木曜日に乳腺外来を担当しています。
 診療内容は、ほぼすべての乳腺疾患を対象としております。良性腫瘍、乳癌、まれな乳腺腫瘍、乳腺炎、女性化乳房、腋窩リンパ節腫大などに対する診断、治療、検診および二次検査などを行っております。マンモグラフィ、超音波検査はルーチンに行い、必要に応じて同日に穿刺吸引細胞診や針生検を行っております。また、石灰化診断や診断困難な乳腺疾患に対しては、予約制でMRI、マンモトーム生検を行っています。
 乳癌の患者様に対しては、検査、診断、手術、抗癌剤、放射線治療、内分泌療法、分子標的剤など標準的な治療は全て行っています。2011年より、積極的に乳房再建を行う方針とし、整容性も重視しております。2013年11月には、日本オンコプラスティックサージェリー学会施設認定を受け、ティッシュエキスパンダーやシリコンインプラントの使用が可能となっており、希望者は年々増加傾向にあります。
 従来通り、外来と病棟に乳癌看護認定看護師が専属に配属されており、化学療法中の脱毛や内分泌療法中の有害事象、術式選択の相談など、女性ならではの細かな配慮がなされています。また、乳癌は40-50歳代に罹患率が高い状況です。まだお子様が小さい方、受験生をお持ちの方、親御さんの介護をされている方、そして仕事でも責任のある立場の方が多いと思われますが、がん医療センターには癌看護専門看護師や種々の認定看護師が配属されており、いろいろな局面で適切なアドバイス、指導を行っております。
 乳癌での地域医療連携はまだ十分に進んでおりませんが、当院にて、より専門的な診療を遂行するためには、地域連携パスの積極的な活用や連携医への逆紹介などを円滑に進めることができるように努力していきたいと思っております。

6.小児外科グループ

 服部・石川を中心に診療を行っています。
 小児外科は、生後間もない新生児から15歳までの小児を対象に、呼吸器、消化器、その他の腹部臓器および皮膚軟部組織の外科的は病気を治療します。また、それ以外にも胸郭異常(漏斗胸、鳩胸など)、泌尿生殖器(腎臓、尿管、膀胱、外陰部など)や外傷など、広い範囲を対象にしています。最近では、小児外科の領域でも腹腔(胸腔)鏡や内視鏡を用いた手術が導入され、術後のQOL向上に貢献しています。当院でも急性虫垂炎や鼠径ヘルニア(脱腸)をはじめ、その他の胸部や腹部の病気に対しても適応を身長に考慮しつつ鏡視下手術を取り入れ実践しています。
 当院は総合周産期母子医療センターを稼働し、1次から3次までの救急小児患者を受け入れております。小児外科については2013年度から専門外来を開設し、これまで多くの患者様の診療を行ってきました。2013年度から2015年度までの3年間の手術実績は、総手術件数で600件、新生児手術件数は45件を超え、特に新生児期の手術として、先天性横隔膜ヘルニア、先天性食道閉鎖症、小腸閉鎖症、鎖肛、臍帯ヘルニアや胆道閉鎖症といった病気を治療してきました。また、近年では泌尿器科系の病気にも積極的に取り組み、停留精巣、膀胱尿管逆流症や水腎症などにも対応しています。今後も多くの病気に対応できるよう体制を整え診療してきたいと考えております。

診療(手術)実績

(単位:件)
  平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
甲状腺癌・腫瘍 1 2 1 2 3
乳癌・乳腺腫瘍 105 107 142 153 166
肺癌・肺腫瘍 74 86 87 65 58
気胸 32 31 37 32 29
食道癌・食道腫瘍 9 6 4 6 3
胃癌・胃腫瘍 99 102 101 81 84
結腸癌・結腸腫瘍 125 124 160 122 100
直腸癌・直腸腫瘍 54 73 58 41 65
肝癌・肝腫瘍 23 39 44 38 19
胆のう胆管癌・胆のう胆管腫瘍 7 4 5 10 6
膵癌・膵腫瘍 23 12 26 22 20
胆石症・胆のうポリープ・腺筋症 158 145 141 140 124
急性腹症・穿孔・腹膜炎 28 26 14 27 29
イレウス 30 30 37 42 44
虫垂炎 90 86 62 89 66
鼡径ヘルニア 219 192 251 210 202
腹壁ヘルニア 7 10 15 28 7
表在リンパ節生検 17 22 10 5 12
皮膚・皮下腫瘍摘出 12 4 10 9 4
肛門疾患 42 33 22 60 44

対象疾患名

甲状腺癌・腫瘍,乳癌・乳腺腫瘍,肺癌・肺腫瘍,気胸,食道癌・食道腫瘍,胃癌・胃腫瘍,結腸癌・結腸腫瘍,直腸癌・直腸腫瘍,肝癌・肝腫瘍,胆のう胆管癌・胆のう胆管腫瘍,膵癌・膵腫瘍,胆石症・胆のうポリープ・胆のう腺筋症,急性腹症・消化管穿孔・腹膜炎,腸閉塞症,虫垂炎,鼡径ヘルニア,腹壁ヘルニア,表在リンパ節腫脹,皮膚・皮下腫瘍,肛門疾患,炎症性腸疾患など

医師紹介

外来担当医師表

臓器別担当医

食道・胃
宮永・奥田
大腸
服部・道傳・平沼
肝胆膵
橋爪・前田
乳腺
大田・伊藤
呼吸器
清水・高山
小児外科
服部・石川

施設認定

日本外科学会外科専門医制度修練施設
日本消化器外科学会専門医制度認定施設
日本胸部外科学会指定施設
呼吸器外科専門医合同委員会関連施設
日本消化器病学会認定施設
日本消化器内視鏡学会認定施設
日本消化器がん検診学会指導施設
日本大腸肛門病学会専門医修練施設
日本乳癌学会認定施設

関連サイト

NCD(National Clinical Database)  link
[外科医の専門医制度と連携した症例データベース]