外科・がん医療センター

外科の紹介

外科

低侵襲と根治性の両方を備えた手術を追求

 6つの専門分野でグループ分けをして、きめ細やかな診断・治療を行っています。

外科について

 当科は、右記の6つのグループに分かれて診療を行っています。各グループにおいては、それぞれの専門学会の指導医・認定医を取得した主治医を中心に、2~3名の医師が一つのチームを結成。きめ細やかな診断・治療を実施できるよう、内科・放射線科(陽子線治療を含む)・病理診断科・緩和ケア科等とも連携して診療を行っています。
 手術の際は、腹腔鏡や胸腔鏡を用いて患者さんの負担軽減に努める一方、進行した状態で発見された癌の患者さんでも、化学療法や放射線治療で良好な治療効果が得られた場合には、治癒を目指した手術を積極的に行っています。

各グループの特徴

1.上部消化管外科
 当たり前の治療を、患者さんの症状に合わせて、きちんと丁寧に行っています。

丁寧に診察・診断。総合的な治療

 食道癌、胃癌を中心とした上部消化管疾患に対する外科治療を主に担当します。丁寧な診察の後、慎重に病状を診断。治療法は患者さんに合わせて、手術、内視鏡治療、化学療法、放射線治療を組み合わせて総合的に行います。院内の各専門科(消化器内科、腫瘍内科、放射線科、病理診断科など)と協力体制が取れるのは大きなメリットで、合併症を持つ患者さんに対しても、ICUを活用しながら安全な治療を行っています。

先端医療や緩和医療も積極的に

 胸腔鏡や腹腔鏡を使ったいわゆる鏡視下手術も積極的に導入しており、食道癌・胃癌ともに半数を超える割合で実施しています。また治癒が難しい段階であれば、症状改善やQOL向上を目指した治療(化学療法や緩和手術など)にも進んで取り組み、新規抗がん剤の臨床試験への参加や腹腔鏡を取り入れた緩和手術など、患者さんに貢献できることはないかと常に考えております。

術後のQOLを考慮
チームで胃の温存手術に取り組む

低侵襲の鏡視下手術を積極的に実施

 私は胃癌、食道癌を中心とした上部消化管の外科治療を行っています。
 胃癌に対しては、従来から侵襲の少ない鏡視下手術を積極的に行っており、切除から再建までをすべて鏡視下に行う「完全鏡視下手術」も取り入れています。
 また、より高侵襲・高難度とされる食道癌の手術にも鏡視下手術を取り入れています。鏡視下手術では、特に胸壁破壊の侵襲を非常に小さく抑えられ、早期離床、早期退院ができるようになっています。

術後のQOLを損なわないよう、残せる胃は残す

 胃の部分切除後には体重が10%程度減少することが知られていますが、さらに胃全摘になりますと体重が20%程度減少し、術後のQOLが著しく低下することが知られています。
 そこで当科では可能な限り胃全摘を避け、亜全摘とするようにこころがけています。噴門の逆流防止機能の温存はもとより、胃の噴門近傍から多く分泌するとされるグレリンといわれる食欲増進作用のあるホルモン分泌を維持することで、術後の食事摂取障害を減らすように努めています。
 日本胃癌学会が施行した全国統計では、胃切除術に占める胃全摘術の割合は約30%と報告されていますが、当科で2018年に施行した胃切除術に占める胃全摘術の割合は約15%でした。当然のことながら胃の温存のためには、外科医の手術手技だけでなく、消化器内科医の的確な術前内視鏡診断や、病理医の的確かつ迅速な術中病理診断がきわめて重要であります。
 外科、消化器内科、病理診断科など専門医よるカンファレンスを定期的に行い、上部消化管チームとして一丸となって診療に取り組んでいます。


2.下部消化管外科
 大腸癌では低侵襲な内視鏡下切施術を基本とし、術後化学療法まで広く対応しています。

低侵襲な単孔腹腔鏡下手術

 約2.5cmの臍切開部から全ての器具を挿入して行う単孔式腹腔鏡下手術は、従来の腹腔鏡下手術に比較して創部が小さく目立たないことから、“より患者さんに優しい治療”として積極的に施行しています。また下部直腸癌に関しては、病巣に近く術野確保が容易な経肛門的全直腸間膜切除術(taTME)の導入も開始しています。

大腸癌に対する外科治療

 年間手術件数は約150例ですが、発生部位や病期により外来化学療法を基本とした術前化学放射療法を先行する場合もあります。進行癌症例や病態により人工肛門造設術が予定される場合には、術前から皮膚・排泄ケア専門看護師がサポートし、より快適な術後生活が過ごせるように配慮しています。

手術はやさしく、強力な化学療法は適応を見極めて
単孔式腹腔鏡下手術と遺伝子変異解析による化学療法の提案

患者さんにやさしい単孔式腹腔鏡下手術を積極的に実施

 増加傾向にある大腸癌の治療成績は向上してきています。
 大腸癌の手術は、この間に、腹腔鏡下手術が行われるようになり、近年では、拡大視野で、より精密な手術が行えるようになってきました。
 腹腔鏡下手術は、創が少なく、痛みが小さく、術後回復が早いため、術後早いうちからの経口摂取が可能になり、早期の社会復帰も期待できる治療です。
 現在、当院では、大腸癌に対する内視鏡下手術の割合は約7割にも達しており、今後さらなる増加が見込まれています。
 当科では、より創の少ない単孔式腹腔鏡下手術を2010年8月より導入しました。単孔式腹腔鏡下手術は、臍部の小さな創からほぼすべて同じ軸ですべての手術器具を挿入するため、器具間の干渉などもあり、技術的にも難易度が高いと言われています。今後ともこの単孔式腹腔鏡下手術により、根治性を落とすことなく、より低侵襲、より整容性の高い治療を、積極的に行ってまいります。

BRAF遺伝子変異の患者さんには強力な化学療法を提案

 化学療法や放射線治療の進歩により、大腸癌の治療成績は向上しています。これにより根治切除不能な進行・再発大腸癌の患者さんの生存期間が延長しています。また、化学療法が奏効した場合には、切除可能になることもあるため、積極的に化学療法を行っております。
 当院では、再発した患者さん全例を対象として、病理診断科の協力のもと、他院ではまだルーチン化されていないBRAF遺伝子変異の解析も実施しています。根治が望めない方でも、BRAF遺伝子変異がある患者さんに対しては、少しでも長生きできるよう、最初から強力な化学療法を提案し、治療効果を上げています。
 これまでは外来にて化学療法を行っておりましたが、現在では患者さんの状況に合わせて入院での治療も行っています。
 今後も大腸癌治療を手術・化学療法の両面から積極的に行ってまいります。

3.肝胆膵外来
 高難度手術から腹腔下手術まで、安全性を重視したより低侵襲な治療を行います。

難治性疾患に対する高難度手術

 年間手術症例は胆嚢摘出術約120例、肝切除術約30例、胆道・膵切除術は約20例です。日本肝胆膵外科学会による高度技能専門医修練施設認定も受けており、難治症例についても外科的処置を中心とする集学的治療による治癒を目指し、患者さんの生活の質(QOL)に配慮した医療を提供するように努めています。ハイブリッド手術室を使った色素注入下腹腔鏡肝切除術といったより高度かつ安全性の高い術式の開発にも取り組んでいます。

腹腔鏡下手術の積極的導入

 胆嚢疾患のほぼ全例で腹腔鏡下手術を基本術式としています。胆嚢炎合併症例においても可及的に急性期での腹腔鏡下手術を施行しており、入院期間の短縮が可能です。近年は腹腔鏡下手術の適応を拡大し、腹腔鏡下肝切除術100例以上、腹腔鏡下膵切除術20例以上の手術実績があります。腹腔鏡下手術などの低侵襲外科治療の評価を行う全国規模の多施設共同研究にも積極的に参加し、安全性を重視した治療の実績とその普及にも努めています。

高難度な肝胆膵手術で
安全・低侵襲な腹腔鏡下手術を実施

安全性と根治性を十分に配慮し腹腔鏡下手術の適応を判断

 肝胆膵外科手術は、消化器外科手術の中で、特に難易度が高いと言われています。現在では、正確な術前診断、手術術式の工夫と標準化、緻密な周術期管理が確立されたことで、こうした高難度手術の安全性は大きく向上しています。さらに「低侵襲=患者さんへの負担が少ない」手術を目指すことが全国的な流れとなっています。
 この肝胆膵領域において、腹腔鏡下手術が急速に普及してきています。腹腔鏡下手術の最大のメリットは、手術創が小さいことから、「術後の痛みが少ない」、「社会復帰が早い」ことなど患者さんへの負担が少ないということです。一方、デメリットとしては、開腹に比べると手術時間が長いこと、触覚がわかりにくい
こと、大出血に対する処置が困難なことなどであり、総じて開腹手術よりも高度な手術手技が要求されます。このメリットとデメリットを踏まえ、特に手術の安全性と疾患の根治性の2点を十分に考慮し、腹腔鏡下手術の適応を判断します。
 当院は、腹腔鏡下の肝切除、膵切除では北陸有数の実績を有しており、ここ数年においては更に肝切除、膵切除術における腹腔鏡下手術の占める割合が高くなっています。

部分切除から葉切除まで腹腔鏡下で行うことが可能に

 ここ数年の当科の大きな進歩は、腹腔鏡下肝切除術の標準化ができたことです。適応を慎重に拡大しながら、部分切除から葉切除まで、ほぼすべての術式を腹腔鏡下で行うことが可能となりました。従来の開腹手術では術後の入院期間が平均で19日必要でしたが、腹腔鏡下手術では平均で12日に縮まりました。
 今後肝切除術において腹腔鏡手術がさらに普及することは間違いありません。手術の安全性、疾患の根治性を損なうことなく、患者さんの負担の少ない手術を積極的に取り組んでいきたいと思います。

4.呼吸器外科
 肺癌や気胸などの手術や事故などで胸部外傷を負った重症患者の対応をしています。

侵襲性と安全性を考慮した手術

 肺がん(原発性および転移性)をはじめとする肺腫瘍と縦隔腫瘍に対する外科治療を中心に気胸、膿胸などの良性疾患に対しても、診断から、手術、術後補助療法まで広く担当しています。低侵襲な胸腔鏡手術を積極的に取り入れ、呼吸器内科、放射線科、リハビリテーション部門、病理診断科、陽子線治療センターの他部門とも連携し、患者さんにとって最善の医療を実践します。手術は侵襲性と安全性のバランスを重視して方法や術式を選択しています。

胸部外傷の救急対応も

 三次救命救急センターでもある救命救急センターは、24時間体制で多くの重症患者を受け入れています。特に交通事故や転落・転倒に起因する胸部外傷症例は、頭部外傷や脊椎・四肢の骨折、腹腔内蔵器損傷などを伴うことが多く、重症となる傾向があります。当グループでは救命救急センター、脳神経外科、整形外科、集中治療室(ICU)と密接に連携を取り、24時間受け入れ体制で緊急ドレナージ術や緊急手術による対応を行っています。

5.乳腺外科
 正確な診断・治療でさらなる専門性を追求し、患者に寄り添った強くて優しい医療を目指します。

認定施設で有資格者が診断

 当科は乳癌や乳房再建など、乳腺や乳房に関連する各学会からの施設認定を受けており、診断・治療には2名の乳癌学会乳腺専門医が当たっています。乳房やリンパ節など含めたほぼ全ての乳腺疾患に対応しており、マンモグラフィー、超音波、細胞診、針生検は受診日に、MRIやマンモトーム生検は予約制で行っています。より専門的な乳管内視鏡、腹臥位式マンモトーム生検装置も備え、乳管内にある微小な病変や石灰化病変の早期診断も可能です。

患者の思いを傾聴し寄り添う

 腹部の脂肪などを用いた自家組織再建も行っています。乳癌看護認定看護師が治療前後の相談や不安、問題点を一緒に考え、医師にも伝えてより良い診察となるよう努めています。今後は再発患者を中心に自分らしく生きていくことの支援(advabced care planning)や、遺伝性腫瘍への診療体制も整えていきます。

6.小児外科
 小児期の様々な外科疾患を対象に、体へのやさしさを考えた診療を行っています。

小児外科専門外来

 新生児から15歳までの小児を対象に、呼吸器、消化器ほかの腹部臓器および皮膚軟部組織の外科治療を行います。胸郭変形(漏斗胸や鳩胸など)、泌尿生殖器や外傷なども扱っています。当院では総合周産期母子医療センターが稼働しており、小児外科についても平成25年4月より専門外来を開設して多くの診療を行っています。以前は県外へ搬送されていた新生児疾患の多くを、当院で治療できるようになっています。

身体にやさしい治療を目指す

 近年では小児外科領域においても、腹腔鏡(あるいは胸腔鏡)や内視鏡下手術が導入され、術後の早期回復、QOLの向上、整容面などでも大きく貢献しています。当院でも急性虫垂炎や鼡径ヘルニア(脱腸)をはじめ、他の胸部および腹部疾患、救急疾患例に対して、適応を慎重に考慮しつつ導入を開始しています。肛門周囲腫瘍への漢方治療、臍ヘルニアに対する圧迫療法など、手術(措置)以外で軽快する疾患も多く、傷をつけない痛くない治療法を取り入れています。

対象疾患名

乳癌・乳腺腫瘍、肺癌・肺腫瘍、気胸、食道癌・食道腫瘍、胃癌・胃腫瘍、結腸癌・結腸腫瘍、直腸癌・直腸腫瘍、肝癌・肝腫瘍、胆のう胆管癌・胆のう胆管腫瘍、膵癌・膵腫瘍、胆石症・胆のうポリープ・胆のう腺筋症、急性腹症・消化管穿孔・腹膜炎、腸閉塞症、虫垂炎、鼡径ヘルニア、表在リンパ節腫脹、皮膚・皮下腫瘍、炎症性腸疾患など

医師紹介

外来担当医師表

臓器別担当医

食道・胃
宮永・奥田・木戸口
大腸
服部・道傳・平沼・古谷
肝胆膵
橋爪・前田・山田
乳腺
大田・伊藤
呼吸器
清水・立道
小児外科
服部・石川

施設認定

日本外科学会外科専門医制度修練施設
日本消化器外科学会専門医制度認定施設
日本肝胆膵外科学会高度技能専門医修練施設
日本胸部外科学会指定施設
呼吸器外科専門医合同委員会関連施設
日本消化器病学会認定施設
日本消化器内視鏡学会認定施設
日本消化器がん検診学会指導施設
日本大腸肛門病学会専門医修練施設
日本乳癌学会認定施設

関連サイト

NCD(National Clinical Database)  link
[外科医の専門医制度と連携した症例データベース]