NST(栄養サポートチーム)

NSTの紹介・特色

 栄養療法はすべての患者さんに共通して必要な、基本的かつ重要な治療法のひとつです。ところが、現実には入院患者さんの1~3割程度に栄養障害があると見積もられ、そのことが治癒を遅らせて入院期間を長引かせる一因にもなっています。一方、入院時に患者さんの栄養状態を適確に判断し、栄養障害が疑われる患者さんに早期から栄養療法を行うことで治療効果が向上し、さらに感染症などの合併症を防ぐのに有効であることが明らかになっています。

 NST(栄養サポートチーム)は、そのような状況を受けて1970年に米国で開始されたチーム医療の一つです。専門知識や技術を持った複数の職種(医師、栄養士、看護師、薬剤師、言語聴覚士、検査技師など)が、専門性を活かしながら、職種間の垣根を越えたチームで患者さんの栄養管理にあたります。個々の患者さんの体格や病状に合わせたよりよい栄養治療を達成することで患者さんの栄養状態を改善し、疾患の治療効果を上げるのが目的です。NST開始後、稼働施設から医療効果が次々と報告、証明され、現在では欧米・アジア諸国に広く拡大しています。日本でも、2014年2月現在1700を超える病院でNSTが活動しています。

 福井県立病院では2003年7月からNST活動を開始しました(図1.NST活動フローチャート)icon_pdf

  1. 入院時の栄養障害を見逃さない
  2. 個々の患者さん毎に適切な栄養療法を行う
  3. 入院中に栄養障害を起こさない

を活動目標として、入院時に患者さん全員に当院で改訂した栄養スクリーニング(SGA福井県立病院改訂版 資料1)icon_pdfを行い、栄養障害が疑われる場合は全例NST対象症例としています。入院中を通して定期的なNST回診や栄養評価を継続することで、適切な栄養投与量・投与方法などを主治医に提言しています(資料2)icon_pdf

 入院時に栄養障害がないと判断された患者さんに対しても担当看護師、病棟担当の管理栄養士が個々に栄養必要量を算出し、週1回の栄養評価を継続しています。必要があればNSTへ依頼し、入院中の栄養障害発生や状態悪化を見逃さないよう努めています。

NSTによる栄養管理の対象

以下の条件が1つでも当てはまる患者さん全員を対象とします。

  1. 入院時栄養スクリーニングで中等度以上の栄養障害が疑われる場合
  2. 胃瘻造設状態あるいは造設予定
  3. 熱傷
  4. 入院経過中に体重減少など栄養状態の悪化が疑われる場合

NST介入実績(資料3)icon_pdf

 2003年の発足当初は主治医からの依頼症例に限定されていたため、数名/月程度でした。2004年の全例スクリーニング適応後、新規NST介入患者数は漸増し、栄養管理実施加算適応後さらに増加して全入院患者数の7~10%(70~110名/月)程度で推移しています。2005年4月から2015年3月末までの新規NST対象症例数は累計約8500名です。

NST委員会メンバー紹介(資料4)icon_pdf

 医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、言語聴覚士、検査技師 の6職種で構成しています。

NST活動メンバー紹介(資料5)icon_pdf

 全22病棟を4つのブロックに分け、ブロックごとに医師、看護師、管理栄養士、薬剤師を含む4職種以上で、1回/週行っています。

NST勉強会(資料6)icon_pdf

 2004年6月より開始し、第2・第4水曜日の18時より約1時間の日程で継続中です。

第2水曜日
 前半;各病棟担当で問題症例の提示と病態・栄養管理方法解説
 後半;栄養管理方法の基礎

第4水曜日
 栄養管理方法の基礎(上記と同様)、最新の知見などの講義
 新しい製品説明会 など

院外の医療従事者の皆さんの参加も歓迎いたします。

地域連携NSTの試み

 患者さんの栄養状態維持・改善のためには、入院中の栄養管理にとどまらず、退院後の継続管理がとても大切です。

 そのためのひとつの方法として、胃瘻を新たに造設あるいは造設した状態で入院された患者さんについては、NSTから胃瘻本体および栄養投与量・投与方法についての情報を作成、提供しています(資料7;胃瘻管理情報提供書)  icon_pdf

臨床実地修練研修

 当院は、日本静脈経腸栄養学会認定教育施設に認定されており、NST専門療法士を目指す方に対し、年に1回実地修練を受け入れています(資料8;専門療法士実地修練研修)icon_pdf

施設認定

 日本静脈経腸栄養学会認定NST稼動施設

 日本栄養療法推進協議会NST稼動施設

 日本静脈経腸栄養学会認定教育施設

*勉強会の詳しい日程情報や臨床実施修練を希望される場合は、NST事務局(県立病院内 栄養管理室 NST専従管理栄養士)までご連絡ください。

文責  NST Chairman 内科 栗山とよ子