栄養管理室

 画像栄養管理室は、管理栄養士、調理師、事務員により構成され、当室理念に基づき、『安全・安心をもとに、栄養と調理に配慮した心あたたまる食事づくり』に努めています。
 医療の目的は病気を治療することですが、栄養状態が悪ければ入院日数が長くなり、治療の効果に影響することが知られています。管理栄養士は、効果的な治療が行えるよう、患者さん一人ひとりの栄養状態や病態を考慮し、栄養管理計画書の作成や栄養指導、患者さんのご要望をお聞きしながらの食事調整などきめ細やかな栄養管理を行っています。

理念

『 私たちは安全・安心をもとに
  栄養と調理に配慮した
  心あたたまる食事づくりを目指します。』

1.病院食について

 当院では、治療を目的とした食事や年齢に応じた食べやすい食事形態など約30種類の食種・約200種類の食事基準があります。また、食物アレルギーなどの個別対応も行っています。

【食事の種類】

一般食  常食 選択食 軟菜食 五分菜食 きざみ菜食 三分菜食 流動食 小児食 離乳食 分娩食 食欲不振食  
 味彩(化学療法食) 開始食
治療食

糖尿病食 糖尿病高血圧食 糖尿病性腎症食 脂質異常症食 肥満症食 高血圧食 妊娠高血圧症候群食
心臓高血圧食 脳梗塞食 肝臓食 腎臓食 痛風食 生禁食 検査食 ヨード制限食 膵臓食 胆石食
炎症性食 低残渣食 口内炎食 貧血食 潰瘍食 刺激抜食 消化管術後食 顎間固定食 嚥下食 濃厚流動食

【選択食】

 食事内容に制限のない患者さんには、嗜好に応える取り組みとして選択食を実施しています。朝食は和食または洋食、昼食と夕食は主菜(A食またはB食)が選べます。

〔1週間の献立例〕

A食

ごはん
豚角煮
スープ煮
フレンチサラダ
果物
ごはん
いわしのフライ
切干の煮物
磯香浸し
果物
ごはん
豚肉ロールトマト煮
青菜のソテー
とろろおろし
果物
ごはん
牛肉の柳川風
きのこの当座煮
棒々鶏風和え物
果物
ごはん
豚肉のチーズ焼き
きんぴらごぼう
華風和え
果物
ごはん
焼き魚
金時煮豆
ごま和え
果物
ごはん
酢豚
ポテトソテー
磯香浸し
ジョア
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B食

ごはん
魚の西京焼
スープ煮
フレンチサラダ
果物
ごはん
八宝菜
切干の煮物
磯香浸し
果物
ごはん
魚のマヨ焼き
青菜のソテー
とろろおろし
果物
ごはん
魚の味噌煮
きのこの当座煮
棒々鶏風和え物
果物
ごはん
厚揚げのあんかけ
きんぴらごぼう
華風和え
果物
ごはん
ロールキャベツ
金時煮豆
ごま和え
果物
ごはん
魚の蒸し煮
ポテトソテー
磯香浸し
ジョア
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【手づくりおやつ】

 入院中のお子さんと、隣接するこども療育センター、特別支援学校のお子さんに手づくりおやつを提供しています。蒸しパン、カップケーキ、スイートポテト、ムース、ゼリー、アイスクリームなど、素朴ながら心を込めた手づくりのおやつは、大変好評をいただいています。

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かぼちゃ蒸しパン カップケーキ スイートポテト
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アイスクリーム キャロットゼリー ココアムース

【 味彩(あじさい) 】

 化学療法などによる食欲不振で、通常の病院食が食べられない患者さん向けに、「味彩(あじさい)」の提供を行っています。食欲低下時にも食べやすいメニューを中心に、野菜の冷小鉢と果物を組み合わせた献立です。食欲が回復すれば、必要な栄養素を補うために通常の病院食への変更が必要になります。

〔味彩(あじさい)の一例〕

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ちらし寿司 焼きそば
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いなり寿司 ビーフカレー
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天ぷらそば ナポリタンスパゲティ

【 祝い膳 】

画像 産科病棟で出産された方には、一日でも早い回復とお子さんの健やかな成長を願って「祝い膳」の提供を行っています。

【嚥下食】

画像 摂食・嚥下機能が低下した患者さんには、ミキサー食に適度なとろみをつけた嚥下食を提供しています。
◆摂食・嚥下機能障害と当院の嚥下食について

【給食システム】

 安全で適温のおいしい食事を提供するため、クックチルとIH加熱カートを組み合わせた『ニュークックチル方式』を採用しています。 2日前に調理・急速冷却・冷蔵された温菜料理を、提供日に再加熱用の食器に盛付け、当日調理の冷菜料理とともにトレイにセットし、IH加熱カートごと冷蔵室(再加熱室)に入れます。提供時間に合わせてIH加熱カートの温菜料理のみが加熱されます。加熱終了後、冷蔵室からIH加熱カートを出し、主食を付けて患者さんに提供します。温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たい状態で提供することができます。
 温菜料理は、大量調理施設衛生管理マニュアル(厚生労働省)に基づき、加熱調理の際に75℃以上、1分間以上の温度と時間の管理を行い食中毒予防に努めていますが、冷却保管後に行う盛付作業の段階で二次汚染の可能性が考えられました。
 そこで対策として、食事提供直前に行うIH加熱カートでの再加熱でノロウイルスが死滅する85℃以上、90秒間以上温められる『ノロウイルス対策カート』を株式会社エージーピーと共同開発し導入運用しています。(平成29年10月16日共同特許出願)
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 再加熱用の食器とトレイは、平成16年の新病院開設時に、伝統産業である越前漆器の技術を用いて開発されたもので、IH加熱の熱による変形を抑える構造となっています。汁腕やトレイの外観は、漆器調であたたかみがあり、料理を引き立たせ、患者さんにも喜ばれています。
 調理業務は、インシデント防止のため、検収→下処理→加熱→冷却→盛付→再加熱→主食付け→配膳→洗浄の工程ごとにスローガンを掲げ、細心の注意を払って業務を行っています。

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【衛生管理】

 当院は、平成17年に福井県食品衛生自主管理プログラム(福井県版HACCP)認証施設となり、3年ごとに更新しています。
 HACCP方式の衛生管理を導入し、温度・時間管理および記録の徹底、衛生管理方法の検証と改善、インシデント報告の徹底と防止対策の検討会議などを定期的に行い、精度管理に努めています。

【給食管理チーム 】

 給食管理チームでは、委託業務管理を行うとともに、新メニューの開発や行事食・県産食材の提供、食物アレルギーの個別対応など、安心安全で喜ばれる病院食の提供が行えるよう検討しています。また、災害対策として、万が一の事態でも入院患者さんへの食事が供給できるよう備蓄食品の確保、調整を行っています。

【 病院給食相互支援組織】

 衛生管理には細心の注意を払っておりますが、想定していない状況が生じる可能性はあります。
 このような場合でも給食提供が滞ることがないよう、福井県立病院、福井赤十字病院、福井県済生会病院、福井大学医学部附属病院の4病院では「病院給食相互支援協約」を締結しています。
 この協約により、有事の際には、互いに患者食の供給や人的支援を行う体制を整えています。さらに、2021年8月より、この体制強化のため協力していただける弁当事業者の募集を行っています。

◆募集要項 PDFデータ

2.栄養管理について

 管理栄養士は、病棟担当制で入院患者さんを対象に個別の栄養管理を実施しています。
 ①入院患者さん一人ひとりの病態を考慮して栄養管理計画書を作成、②病室に訪問して食事内容を説明、③食事摂取量や点滴からの栄養投与量、身体状況などを評価、④食事摂取量が低下している患者さんには病室に訪問し、病態や嗜好に合わせた食事内容の検討や栄養補助食品の提案などを行っています。
 栄養障害が疑われる場合は、病棟や栄養サポートチーム(NST)へ連絡し、入院中の栄養状態の悪化を防いでいます。

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ベッドサイドでの身体計測 ベッドサイドでの食事説明

【NST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)】

 栄養療法は、すべての患者さんに共通する基本的かつ重要な治療のひとつです。ところが全国調査では、入院患者さんの3割程度に栄養障害があり、そのことが病気の回復を遅らせ入院期間が長引く一因にもなっています。一方、栄養障害が疑われる患者さんに早期から適切な栄養療法を行えば、栄養状態を維持・改善して治療効果を高め、感染症など合併症の予防効果が期待できます。そのような背景で誕生したのが栄養サポートチーム(NST)です。
 医師・看護師・薬剤師・管理栄養士など多職種がNSTを構成して、専門性を活かしながら職種間の垣根を越えたチームで患者さんの栄養管理を行っています。
 管理栄養士は、チームの一員として患者さんの年齢や体格・病気の状態に基づいた必要栄養量の算出と適切な栄養投与方法の検討、必要栄養量を確保できるような食事などの提案を行っています。
 NST以外にもNST嚥下チーム、褥瘡対策チーム、緩和ケアチーム、糖尿病サポートチーム、透析予防診療チームなどがあり、これらのチームにも管理栄養士が加わり連携を図っています。

3.栄養指導について

 栄養指導とは、医師の指示に基づいて管理栄養士が入院・外来の患者さんを対象に、治療に必要な食事の指導を行うものです。
 栄養指導には、一人ひとりに行う「個別指導」と複数の患者さんに行う「集団指導」があります。
 実施日:月曜から金曜(祝日を除く)9:00~17:00
 場 所:外来患者さんは地下1階栄養相談室、入院患者さんは病棟

【個別指導】

 患者さんの病気の状態や年齢、性別、食事の習慣などを踏まえた上で、治療に必要な食事のとり方について具体的にアドバイスさせていただきます。管理栄養士が患者さんの食生活における不安や疑問に応えるとともに、治療食への理解を深めるお手伝いをしています。
 個別指導は原則として予約制となっていますので、ご希望される場合は担当医師にご相談ください。

画像 栄養指導風景 画像
病棟での個別指導風景 栄養相談室での個別指導風景 がん医療センターでの個別指導風景

【集団指導】

 同じ疾病を持つ複数の患者さんを対象に病気の治療および食事療法に必要な知識を習得していただくことを目的としています。
 集団指導には、次の教室があり、それぞれの教室で管理栄養士のほか、医師、看護師などの医療スタッフがカリキュラムに基づき必要な指導を行います。
 各種教室などの日程は下記のとおりです。ご希望される場合は、担当医師にご相談ください。なお、祝祭日と年末年始はお休みです。

糖尿病教室  毎週 水曜日

 毎週水曜日の14時30分から16時まで糖尿病教室を行っています。1週ごとにテーマを変え、医師、管理栄養士、薬剤師、検査技師、看護師、理学療法士がお話します。場所は3階多目的室1です。

第1週目 糖尿病とは(医師)
糖尿病の食事療法(管理栄養士)
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第2週目 糖尿病と治療(医師)
糖尿病と検査(検査技師) 糖尿病と薬(薬剤師)
第3週目 糖尿病の合併症(医師)
糖尿病の食事療法(管理栄養士)
第4週目 日常生活のケア(看護師)
糖尿病と運動(理学療法士)
糖尿病教育入院(1週間コース)
1回目 火曜 午後 これまでの食生活について振り返り
糖尿病の食事療法について
2回目 水曜 14:30~ 糖尿病教室に参加
3回目 火曜 午前 これからの食生活について

4.レシピ集について

福井県立病院広報誌「県民けんこうマガジン コンパス」では管理栄養士が旬の食材をピックアップして”おウチで簡単レシピ”を紹介しています。
この度、コンパス56号から66号で掲載したレシピをまとめたレシピ集が完成しました。
おすすめレシピのほかにも、当院で提供している食事も紹介しています。
皆様の健康づくりのため、ぜひご利用ください。

【おウチで簡単レシピ~旬の食材編~】

   

 画像     デジタルブック 

    内容
    ・旬の食材を使用したレシピ
    ・当院で提供している食事の献立
    ・献立の組み合わせや栄養バランスを考えるポイント
    ・一食当たりの栄養量
            ・摂取できる野菜類の量