褥瘡対策活動の紹介
はじめに
褥瘡とは、体重などで圧迫された部分の血流が悪化し滞ることで、皮膚などにキズや障害をおこす病態です。寝たきりなどに由来する事が多く、一般的に「床ずれ」ともいわれます。
褥瘡は、数時間あれば発生してしまいます。一度褥瘡ができると、治るまでには大変な手間と時間が必要です。重症の患者さんや寝たきり患者さんの増加にかかる褥瘡治療の重要性を鑑みて、当院では全国に先駆け、2001年8月に褥瘡部会(現褥瘡対策委員会)を設置しました。
褥瘡のリスク評価
当院では、入院時点で全患者さんについて褥瘡発生のリスクを評価しています。病棟看護師が行った評価をもとに、患者さんの状態に応じた看護ケアを実践し、褥瘡の予防に努めています。また、月に1回開かれる会議では、医師や看護師、薬剤師、理学療法士らが参加して病院全体の褥瘡発生症例の動向を把握し、対策について検討しています。
褥瘡回診
予防に努めていても褥瘡が発生した患者さん、あるいは入院前から既に褥瘡があった患者さんに対しては、褥瘡対策チームの回診による介入を行っています。皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)や特定行為研修を修了した看護師を中心に、医師(皮膚科・形成外科)、管理栄養士、理学療法士、病棟看護師らがベッドサイドで診察と処置を実施しています。病棟看護師と患者さんの情報を共有し、「なぜ発生したのか?」「治癒を妨げる要因は何か?」をアセスメントし、対策を立て実践につなげています。また、病棟看護師に褥瘡の処置方法を指導し、栄養士による栄養管理や理学療法士によるポジショニング指導も行っています。褥瘡のある患者さんに多職種が関わり、患者さんの生活スタイルを含む褥瘡の全体像を多方面から捉え、褥瘡の早期治癒と再発予防を目指しています。
スタッフ教育・院内研修
褥瘡対策には、病院全体での取り組みが欠かせません。院内の職員を対象に年に数回の褥瘡対策研修会を開催しています。ほかにも新人看護師を対象とした基礎研修や、病棟でのニーズに応じた勉強会を適宜開催することで、全職員を対象としたスタッフ教育を継続しています。重度の褥瘡の症例に対しては、個別の症例検討会を開催し、悪化の予防や治癒遅延への更なる対策強化に努めています。
さいごに
回診のたびに、患者さんの褥瘡が良くなっているのをみることは、我々チームにとって大変に嬉しいことです。今後も「褥瘡発生ゼロ」を理想に、活動を継続します。