整形外科

整形外科の紹介・特色

主任医長:三崎 智範
主任医長:三崎 智範
 整形外科では骨、関節、筋肉、神経など運動器の外傷や疾患を診療します。当院の特徴として、三次救命救急センターを抱えているため多数の外傷患者さんの治療を行っていることが挙げられますが、外傷以外の整形外科疾患についてもそれぞれの分野で専門性の高い治療を行っています。手術治療においては、脊椎内視鏡手術や低侵襲人工関節置換術(MIS)、骨折に対する低侵襲手術(MIPO)を積極的に取り入れており、患者さんに優しい治療を提供するよう心がけています。

骨折

 県内唯一の三次救命救急センターを抱えており、一次救急や二次救急病院で手に負えない外傷患者さんが24時間365日体制で搬送されます。また、令和3年5月から福井県でもドクターヘリの運航が開始されたことでより緊急性の高い患者さんが搬送されることも多くなりました。整形外科は救急部と密に連携しており、入院や手術が必要な場合には速やかに治療を開始出来る体制をとっています。交通外傷や労働災害では重症外傷や多発外傷の患者さんも多いため、他の診療科とも連携して治療にあたります。また、高齢者に多い大腿骨頚部骨折においては、地域連携クリニカルパスの急性期病院となっており、当院でできるだけ早期に手術を含めた急性期治療を行った後、連携回復期病院へ転院してリハビリを継続して頂いています。更に骨粗鬆症の治療を行っていない患者さんについては入院時から骨粗鬆症の治療を開始して転院先でも継続して頂くことで再骨折の予防を目指しており、地域一丸となって治療に取り組んでいます。

脊椎疾患

 手足のしびれや指の細かい運動の障害、歩行障害、排尿障害などをきたす頚椎疾患と腰痛や坐骨神経痛をきたす腰椎疾患を中心に診断と治療を行います。頚椎では頚椎症性脊髄症や後縦靭帯骨化症に対する椎弓形成術、頚椎椎間板ヘルニアに対する前方除圧・固定術などを行っています。胸椎では圧迫骨折後の麻痺に対する除圧・固定術、黄色靭帯骨化症に対する椎弓切除術や固定術、胸椎椎間板ヘルニアに対する除圧術などを行っています。腰椎では腰部脊柱管狭窄症に対する椎弓切除術、腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板ヘルニア切除術などを行っています。
 特に腰椎疾患(腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症)および頚椎疾患(頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニア)に対しては、日本整形外科学会認定の脊椎内視鏡下手術・技術認定医である脊椎担当の上田が内視鏡を用いた低侵襲手術を積極的に行っています。また脊椎の外傷や重症の脊椎脊髄損傷に対しては、神経麻痺の回復や早期リハビリテーション・社会復帰を目的に、神経の圧迫を取り除き金属(脊椎instrumentation)を用いて脊椎を固定する手術を行っています。希少な疾患や難易度の高い手術は大学病院と連携して治療にあたります。

関節疾患

 股関節、膝関節をはじめとする関節疾患やスポーツ障害全般の治療を行っています。進行した変形性股関節症や変形性膝関節症、関節リウマチによる関節破壊を認める患者さんに対しては、積極的に人工関節置換術を行っています。人工膝関節置換術については、関節担当の三崎が令和4年11月からROSA Knee(ロザ・ニー)を用いたロボット支援下手術を開始しており、正確な手術と良好な膝関節機能を達成することを目指しています。また、人工股関節置換術については平成20年から筋肉や腱を切離しない低侵襲な前方進入手術を行っており、入院期間の短縮や早期の社会復帰が可能となっていますが、令和5年5月からはROSA Hip(ロザ・ヒップ)を用いたロボット支援下手術を開始しており、より正確なインプラントの設置が可能となっています。

人工関節手術支援ロボット「ROSA」

関節リウマチ

 関節リウマチに対してはエビデンスに基づいた早期診断・治療を心がけており、患者さんの年齢、ライフスタイル、合併症を考えながら最新の生物学的製剤を含めた薬物治療を行っています。関節リウマチの治療に用いる薬剤には、呼吸器合併症をはじめ様々な副作用を起こすものがあり、膠原病内科や呼吸器内科の先生とも密に連携し、合併症の早期発見・治療に努めています。薬物治療を行っても変形や痛みが強い患者さんに対しては、手術的治療も行っています。 

手の外科、末梢神経

 手の外科担当の村井が手指・肘の痛み、しびれ、変形、運動障害といった様々な障害に対して診療を行っています。個々の患者さんが求める手の機能や状態に応じて治療法を選択しています。手術の際には超音波(エコー)を用いて神経や血管の位置を確認しながら安全に麻酔や手術を行うようにしています。一部の骨折や手指機能の再建手術においては、手術中に鎮痛を得ながら手指の運動が可能な麻酔法を用いることでより良い成績が得られる工夫も行っています。また、音楽に携わる方の運動器の障害に対してピアノ演奏家でもある村井が音楽家外来も行っています。 

マイクロサージェリー

 手外科担当の村井が四肢やその他の部位の1~10mm程度の神経・血管損傷に対する縫合術や、重度外傷に伴う軟部組織再建を行っています。 

小児整形外科

 小児の脊柱側弯症、先天性股関節脱臼や内反足、斜頚、骨系統疾患、脳性麻痺などの疾患については、併設の福井県こども療育センターにおいて診断と治療を行っていますので、まずはそちらへの受診をお願いします(https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kodomo-ryouiku/pediatricorthopaedics/seikei.html )。
 こども療育センターで手術治療が必要と判断された場合には、当院でこども療育センター整形外科医と協力して手術を行います。

診療(手術)実績 【件数】

令和元年 令和2年 令和3年 令和4年 令和5年
骨折 484 395 415 408 375
(大腿骨近位部骨折) (187) (142) (149) (162) (160)
脊椎 132 116 124 148 158
(脊椎内視鏡下手術) (96) (98) (100) (108) (138)
関節 102 83 99 80 81
(人工股関節全置換術) (18) (19) (25) (19) (33)
(人工膝関節全置換術) (20) (11) (10) (17) (27)
腫瘍 8 3 4 12 8
手の外科、末梢神経 18 18 19 11 3
小児整形外科 30 32 32 25 21
その他 93 95 114 96 94
【手術総数】 867 742 807 780 740

対象疾患名

脊椎疾患

頚椎症性脊髄症、頚椎後縦靱帯骨化症、胸椎黄色靭帯骨化症、頚椎・胸椎・腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症など

関節疾患

肩関節周囲炎、変形性肩関節症、変形性肘関節症、野球肘、変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、変形性膝関節症、膝半月板損傷、膝靱帯損傷、外反母趾、扁平足、変形性足関節症、強剛母趾、関節リウマチなど

手の外科、末梢神経

手根管症候群、肘部管症候群、ばね指など

小児整形外科

脊柱側弯症、先天性股関節脱臼、先天性内反足、斜頚、骨系統疾患、脳性麻痺など

その他

原発性骨腫瘍、転移性骨腫瘍、軟部腫瘍、骨粗鬆症など

医師紹介

外来担当医師表

施設認定

日本整形外科学会認定研修指定病院
日本脊椎脊髄病学会
 脊椎脊髄外科専門医基幹研修施設