耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科の紹介

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体に重要な「みみ・はな・のど」を総合診療

 聴覚、嗅覚、気道、嚥下、頸部腫瘍など多くの領域の疾患を扱います。

耳鼻咽喉科について

 耳鼻咽喉科が担当する「みみ、はな、のど」の病気は、きこえや体のバランス、におい、味などの感覚と、顔の表情をつくったり、声を出したりする運動の神経、鼻から気管にいたる呼吸のための通路、口から食道にいたる食べ物の通路、といった多くの領域にまたがっています。
 それらのさまざまな疾患に対し、専門的な診療を行います。

それぞれの領域で専門的診療

 頭頚部領域で広く専門的治療を行っています。特に、(1)慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下機能手術、(2)通年性アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術などの外科療法、(3)慢性中耳炎、中耳奇形、耳硬化症などに対する聴力改善手術、(4)甲状腺悪性腫瘍に対する外科手術、(5)頭頸部悪性腫瘍に対する機能温存に配慮した治療などを得意としています。頭頚部領域悪性腫瘍では動注化学療法併用陽子線治療も行っており、県内外から多くの治療実績があります。
 

小児の扁桃手術は高リスク?

 小児の閉塞性睡眠時無呼吸症(obstructive sleep apnea:OSA)に対する口蓋扁桃摘出+アデノイド切除術は、有効な治療法として広く施行されています。しかし、被膜外で口蓋扁桃を摘出する従来法の手術は、術後の疼痛が強く、術後出血のリスクもあります。先生方の中にも子供の頃、痛い思いをした記憶のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。また術後出血は、時に死に至ることもある重大なリスクです。
 

PITA (Powered Tonsillectomy and Adenoidectomy)

 近年、パワーデバイスを用いた被膜内口蓋扁桃切除+ アデノイド切除術( Powered Intracapsular Tonsillectomy and Adenoidectomy:PITA)が導入されました。従来法に比べて術後合併症が少ない術式として、一部の国では手術の多くがPITAに変わりつつあります。
 被膜内扁桃切除は、扁桃被膜を温存して口蓋扁桃のリンパ組織だけを減量する術式です。これまでも類似の術式はありましたが、ほとんど行われることはありませんでした。それが、パワーデバイスの登場により出血をコントロールしながら、より精緻な手術を行うことが可能となったのです。
 

古くて新しい扁桃摘出術

 当科では県内の他病院に先駆けて、2018年より一部の小児OSA症例に対しPITAを施行しています。オーソドックスな扁桃摘出術とは様変わりで、手術翌日から子どもたちは痛みをほとんど訴えません。創の治癒も早く、これまでのところ、術後出血は皆無です。
 扁桃摘出術は、紀元前1000年には行われたという、古い古い術式ですが、現在も日々進歩しています。
 扁桃が大きく無呼吸で困っているが痛みやリスクのため手術をためらっている子供がいましたら、ぜひ当科への受診をお勧めください。

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大きな右扁桃
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扁桃をどんどん切り進めていく。出血は少なく良好な術野が確保されている
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扁桃被膜が残っており、術後出血の原因となる動脈が露出しない

対象疾患名

中耳炎、副鼻腔炎、鼻炎、扁桃炎、頭頚部腫瘍(頸部、甲状腺、口腔、咽頭、喉頭、唾液腺、中耳などの腫瘍)

医師紹介

外来担当医師表

施設認定

日本耳鼻咽喉科学会認定専門医研修施設
内分泌・甲状腺外科専門医制度関連施設

甲状腺疾患について

 甲状腺の病気を専門的に扱う病院・診療科は全国的にもかなり少数です。いざ甲状腺の病気を疑っても、「どの病院の、どの科、どの医師診察を受けたらよいのかわからない。」こんな患者さんの声をよく伺います。また、いざ治療を受けるとなっても手術などの治療を行う科と術後の通院で診察を行う科が違う場合も多く、戸惑ってしまうことも多いのではないでしょうか。

当科ではこのような現状を考え、甲状腺の病気を患う患者さんに

・ わかりやすく来院しやすい環境を整え

・ 高レベルの専門的診断・治療を行い

・ その後も同じ担当医が継続性を持って経過をみる

このような医療サービスを提供しています。

甲状腺の病気とは

・女性に多い

 甲状腺の病気は女性に多くみられる病気です。ある調査では、健康と思われる40歳以上の成人女性を対象とした健診で20%程度の高い頻度で何らかの甲状腺の病気が見つかったという報告があります。もちろん男性でも甲状腺の病気になるのですが、圧倒的に女性の方が多く、女性の病気といっても過言ではありません。

・病気と気付きにくい

 甲状腺の病気の症状は 疲れやすい、むくみやすい、便秘がちである、冷え症であるなどの症状や、あるいは逆に日々動悸がする、イライラし落ち着かない、暑がりで汗をかきやすいなど一般的に多くの女性が日々感じている症状に類するものが多くあります。ゆえにご自分の判断で産後の疲れかなとか、更年期だからしょうがないとか、老いによるものかとあきらめてしまっている方が、実は甲状腺の病気が原因であったということもあります。

主な病名は

・甲状腺良性腫瘍(濾胞腺腫、腺腫様腺腫など)

・甲状腺悪性腫瘍(乳頭癌、濾胞癌、髄様癌など)

・甲状腺機能亢進症(バセドウ病、プランマー病など)

・甲状腺機能低下症(慢性甲状腺炎など)

その他にも様々な病名があります。

治療方針

 甲状腺の病気は、きちんと治療すれば治ることがほとんどです。たとえ悪性腫瘍であっても他の癌、例えば胃がんや肺がんなどと比べても、おとなしい性質のものが多く、悪性という診断でも決して悲観すべき事ではありません。また、ホルモンの分泌異常で上記のような症状が出ても、内服薬、アイソトープ治療、手術などできちんと治療することによって、通常どおり不都合なく生活することが可能です。もちろんごく一部には、進行し命に関わるような状態になる場合もあるので、不足のない十分な治療が大前提ですが、可能であれば、余分な負担をできるだけ減らすような治療(低侵襲治療;ミニマルインベイシブテラピー)を心がけています。当科では他施設にはない最新の治療を行っておりますので、いくつかご紹介いたします
 

アイソトープ治療

 進行した悪性腫瘍の術後やバセドウ病に対して行う治療です。甲状腺の悪性腫瘍は一般的な化学療法や放射線治療がほとんど効きません。よって甲状腺を全部取ってしまわなければならないような進行した場合は、術後の追加治療としては非常に重要です。従来の放射線治療と比べて皮膚の焼け爛れなどの副作用は少なく、身体への負担も少なくなっています。進行した病状の方には、再発の危険を少しでも減らせるよう徹底した治療を行います。また、バセドウ病に対しては、薬が効かない、あるいは薬を中止せざるを得ない場合の手術を回避できる唯一の選択肢であり、非常に有効です。当院には核医学専門医が常勤しており、この治療が行えるのは県内では当院のみです。核医学医と連携し、治療の重要な1選択肢として必要な方にはお勧めしています。

 この他にもペイト療法(甲状腺の病巣部にアルコールを注入し組織や機能を失わせてしまう治療)など、様々な選択肢を取り揃えています。