検査室

検査室は何をするところ?

 患者さんの病気はいろいろな検査結果を基に医師が総合的に診断し治療を行います。その一端を担っているのが検査室です。患者さんから採取された血液や体液、組織など(これらを検体といいます)の成分や形態を分析測定し、又、体の機能を直接調べること(生理検査)によって医師の診断のための判断材料を提供しています。その他、安全な輸血医療が行われるための業務や、院内感染を防止するための業務、検査のための採血業務も行っています。

認定書  検査室は2022年5月に臨床検査の国際規格(ISO 15189)認定を取得し、検体検査・病理細胞診・生理の3部門体制で、国際的に認定された高い技術能力で、迅速かつ精度の保たれた検査を24時間体制で行うことで患者貢献に努めています。また、がんゲノム診療連携拠点病院として検体の品質管理も適正に行っています。新型コロナ感染症に対しては、いち早く多くの検査機器を導入しPCRなどのコロナ検査の24時間体制も整え、感染拡大防止のため迅速に対応しています。
 我々は県立病院の理念「総合的かつ高度な医療の提供」に基づいた検査サービスを提供することで「県民に信頼され、心あたたまる病院」を支援しています。


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検体検査のための総合臨床検査システム  pagelink

 当院の基準値 icon_pdf

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検査室の構成

 

 検査室は、検体検査グループ、生理検査グループ、病理検査グループの3つの専門分野に分かれており、その中には次の様な認定資格を持った技師もおります。また、臨床検査担当医も在籍しており、患者さんに安心して医療を受けてもらえるように努めています。

細胞検査士(国内・国際資格保持者) 4名
認定輸血検査技師 3名
認定血液検査技師 4名
認定骨髄検査技師 1名
認定臨床微生物検査技師 1名
感染制御認定臨床微生物検査技師 1名
二級臨床検査士(血液学) 2名
二級臨床検査士(生化学) 1名
二級臨床検査士(血清免疫) 1名
二級臨床検査士(微生物) 1名
二級臨床検査士(循環生理) 2名
超音波検査士(循環器領域) 2名
超音波検査士(血管領域) 2名
血管診療技師 1名
糖尿病療養指導士 2名
緊急臨床検査士 15名
上級健康食品管理士 1名
健康食品管理士 1名
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者 2名
有機溶剤作業主任者 2名
化学物質管理者 1名

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採血業務(受付時間8:00~17:00 ※採血は8:15より開始)

 中央採血室では、臨床検査技師が小児科を除く全外来患者さんの検査のための採血を行っています。採血から検査まで、検査技師が一貫して検体の管理を行っています。

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矢印アイコン中央採血室

採血時には確認のためお名前をお聞きします

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p2様々な採血管

検査項目に最も適した採血管を使用します

採血室では、ピロリ菌の有無を調べる尿素呼気試験  icon_pdfも検査技師が実施しています。

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生化学検査

 肝機能、腎機能等、各臓器の働きに関係する酵素を血液や尿を用いて化学的に分析測定しています。その他、糖尿病・生活習慣病関係の検査や、ガン腫瘍マーカー、B型肝炎、C型肝炎、梅毒等の検査も行っています。生化学検査はほとんどが機械化されていて、少量かつ短時間で多くの検体の検査ができます。その一人一人のデータに異常がないかを技師がチェックして、精度が高く信頼性のあるデータを報告しますので、安心して診療を受けていただけると共に、患者さんの診察の待ち時間を短縮するのにも役立っています。

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p3生化学自動分析装置

この機械で同時に肝機能検査、腎機能検査等血清40項目の検査を実施しています。

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血液検査

 多項目自動血球分析装置により貧血の検査、血球の分析等を行い、必要な場合には塗沫標本を作製し染色して顕微鏡で赤血球、白血球等の形態的異常を観察し報告しています。凝固・線溶検査は出血、止血などの機序に異常がないか調べる検査で、手術前検査、ワーファリン等の経口抗凝固薬の服薬コントロールに必要な検査です。さらに精密検査として骨髄像検査も行っています。骨髄での造血状態を調べて、貧血や白血病等の診断・病態把握のためのデータを提供しています。その一環として当院では、主治医の判断により、血液疾患(主に白血病)の患者さんの治療経過中に、治療前後の血液像の標本の供覧による説明を行っています。

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p4骨髄検査報告書を作成中

顕微鏡から取り込んだ画像を保存し、報告書に画像を添付し報告しています。

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p5急性白血病の骨髄像

同じような形態の異常細胞が増殖し、正常の造血細胞はほとんど見られません。

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一般検査

 一般検査では、尿、便、体腔液、髄液などの性状検査、顕微鏡検査を行っています。尿は簡単に採取できて、しかも体の状態をよく反映しているので診察の最初に行われる最も有用な検査です。又、妊娠から出産までの各検査や、髄膜炎、脳炎などを疑うときの検査も行っています。

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p6顕微鏡で見た尿中の成分

炎症があると尿中に、赤血球や白血球、細菌、上皮細胞、円柱(腎臓の尿細管でつくられる)が見られ、診断の指標となります。

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細菌検査

細菌検査は、便、喀痰、尿、血液、膿など患者検体からさまざまな細菌を検出し、同定(菌の種類を決定する検査)を行い、どんな薬剤が効くのか(薬剤感受性試験)を調べています。又、院内感染防止対策の一環として、耐性菌(薬が効きにくい細菌)の検出の際には関連部署と連携をとったり、最新の感染症情報を把握・活用することで感染予防に努めています。

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p4血液培養装置と専用容器

血液培養は発熱や全身の感染症の原因を探すために、血液中に細菌がいないかを確認する検査です。血液から細菌が検出された場合には生命にかかわるので、血液培養自動分析装置を用いて24時間監視しています。細菌を検出した時点で速やかに報告できるように努めています。

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輸血検査

 近年輸血の安全性は高まりましたが、まれに重篤な副作用やウイルス感染症が起こることがあります。輸血検査室では24時間体制で臨床検査技師が検査しており、輸血が安全に行われるための検査(血液型、不規則抗体検査⦅赤血球に対する抗体⦆、交差適合試験⦅輸血をしても大丈夫かどうかを調べる⦆)や血液製剤の管理を行っています。

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p8全自動輸血検査システム

全自動輸血検査システムは、血液型検査などの輸血関連検査を全自動で行い、検査結果はオンライン入力されます。これによって人為的ミスがなくなり、当院の輸血医療の安全性はさらに高くなりました。

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p9主な輸血用血液製剤

赤血球製剤、血小板製剤、新鮮凍結血漿等があります。

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生理検査

 生理検査室では様々な医療機器を用いて体の形態や機能を調べています。心電図・ホルタ―心電図・トレッドミル運動負荷試験・超音波検査・CAVI等の循環器系検査、脳波・筋電図等の脳・神経系検査、肺活量等の呼吸機能検査、聴力・平衡機能等の耳鼻科系検査に大別されます。心臓超音波検査では心臓の形態と機能を総合的に評価することができ、弁の逆流・狭窄等も見つけることができます。また、頸部血管超音波検査では脳虚血の原因や動脈硬化の程度も分かります。その他、神経障害・手根管障害等の伝導障害の診断、経過観察に有用な神経伝導速度、筋電図等の検査も行っています。また、数年前より事件や事故で注目され、近年循環器系の病気とも関係があると言われている睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断検査も行っています。

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矢印アイコン中待合室

ここから各部屋に入り検査します。ベッドや車椅子ごと各検査室へ入って検査できるよう通路を広くとってあります。

 

 

循環器系
心電図  icon_pdf
安静心電図
 
 
負荷心電図
マスター負荷心電図
トレッドミル負荷心電図
ホルター心電図  icon_pdf
心臓エコー  icon_pdf
経食道心臓エコー  icon_pdf
脳神経系
 

脳波  icon_pdf
誘発電位
聴性脳幹反応(ABR)
体性感覚誘発電位(SSEP)
聴覚誘発電位(ABR)  icon_pdf
視覚誘発電位(VEP)
神経伝導速度  icon_pdf
聴力
標準純音聴力  icon_pdf
SISIテスト  icon_pdf
語音明瞭
自記オージオ
耳音響放射
血管系
 

ABI  icon_pdf
指尖脈波  icon_pdf
頚動脈エコー  icon_pdf
血管エコー  icon_pdf
サーモグラフィー
 
呼吸器系
呼吸、肺機能  icon_pdf
睡眠時無呼吸検査
簡易無呼吸検査  icon_pdf
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)  icon_pdf
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病理・細胞診

病理検査  icon_pdfは手術や生検などで採取された組織等を固定し、病理学的診断を行うための顕微鏡標本を作成します。又、免疫組織化学検査等で患者さんの病態に合わせた治療を行うためのデータも提供します。手術中に腫瘍の一部を取り出して超低温で急速凍結し、特別な装置で標本を作成し、病理医が悪性かどうかを診断して速やかに手術室に結果を返す、術中迅速診断も行っています。

細胞診検査  icon_pdfは、患者さんの負担も少なく、婦人科擦過材料や喀痰、尿等に含まれている細胞を、細胞検査士がスクリーニングし良性か悪性かを判定して、細胞診専門医が確定診断を行う検査です。

その他病因究明のために病理解剖も行っています。

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矢印アイコン液状化細胞診標本と顕微鏡写真

尿中の細胞成分やブラシ・針などで採取した検体を液体の中に入れて細胞の変性を防ぎます。液体中の細胞を集めてスライドガラスにのせ、染色を行い標本を作ります。

顕微鏡で細胞を観察し、良性か悪性かを判定します。

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遺伝子検査

 がんの診断において組織診断、細胞診断に加えて、遺伝子検査が重要になっています。また、分子標的治療薬と呼ばれる抗がん剤の治療選択において、遺伝子検査は必須になっています。当検査室では、病理診断科の医師との連携のもと、がんの遺伝子検査を院内で行うことにより、迅速に結果を報告するように努めています。

現在、行っている遺伝子検査は以下の通りです。

 1.免疫関連遺伝子再構成

 ・IgH再構成DNA定性検査

 ・TCRγ再構成DNA定性検査

2.悪性腫瘍遺伝子検査

 ・肺癌におけるEGFR遺伝子検査

 ・大腸癌におけるRAS, BRAF遺伝子検査

 ・消化管間葉系腫瘍(GIST)におけるc-kit, PDGFRα遺伝子検査

 ・胃癌、乳癌におけるHER2遺伝子検査

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左上:リンパ節のスタンプ標本。多数の腫瘍細胞が確認されます。

右上:左のリンパ節でIgH再構成DNA定性検査を行った結果、陽性を示すバンド(赤い矢印)が確認され、B細胞性のリンパ腫が示唆されました。

左下:がん細胞の遺伝子の変異を読み取る機器です。

右下:左の機器で検査して表示される波形です。青い矢印の範囲にがん細胞の遺伝子変異があります。

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