令和6年4月1日に14代目の福井県立病院長を拝命いたしました。院長として、生まれ育った福井県の医療に貢献できることをとてもうれしく思います。
さて、本県において令和2年3月18日から約4年間続いた新型コロナウイルス感染症との闘いにもようやく終わりが見え始めています。ただ、この間に、県全体における救急患者受け入れ体制や県内各施設の病床管理上の問題が表面化しました。この問題は令和6年からの第8次医療計画において取り上げられている5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患)・6事業(小児医療、周産期医療、救急医療、災害医療、へき地医療、新興感染症発生・まん延時における医療)の取り組みすべてに関係していると思われます。当院はこれまでもこれらすべてに全力を尽くしてきましたが、近年、患者さんの高齢化が進み、自宅退院できずに転院や施設入所を待つ入院患者さんが増え、本県の高度急性期医療の遂行に影響が出始めているように思われます。少子高齢化が進んでいる我が国において、「病気を抱えながら生きること」、「支えること」に重点を置いた患者さんの割合が増え続けていることはやむを得ないことであり、これに対して地域包括ケアシステムの整備が必要です。その一方で、「治すこと」、「救うこと」が必要な患者さんに対する高度急性期・急性期医療もさらに充実させていく必要があることに変わりはありません。
本県医療に貢献していくため、当院は7つのセンター(中央医療センター、こころの医療センター、救命救急センター、母子医療センター、健康診断センター、がん医療センター、陽子線がん治療センター)をさらに活性化していきたいと考えています。
令和6年4月から医師の働き方改革が本格的に始まり、医師の労働時間の制約がより厳密になりますが、このような中にあっても当院は高度急性期病院としての機能を果たし続けていくために今後も努力を重ねて参ります。
県民の皆様におかれましてもご理解とご協力をお願いいたします。
福井県立病院長 道傳 研司(どうでん けんじ)