当院での無痛分娩のご紹介

無痛分娩とは

 無痛分娩とは、分娩時の産痛を緩和することを指します。『無痛』とありますが、完全に痛みがなくなるわけではなく、我慢できる程度の痛みに抑えてお母さん自身の産む力を最大限発揮できるようサポートすることが目的です。

当院の状況

 当院では、昨今の無痛分娩のニーズ増加をうけ、福井県の総合周産期母子医療センターとしての役割を十分に活かし、2024年4月より本格的に無痛分娩を行うことになりました。無痛分娩には様々な方法がありますが、最も一般的な『硬膜外麻酔』を採用しております。
 医学的適応(心疾患や脳血管疾患等)のある妊婦さんだけでなく、お産に対する不安が強い方などご希望される妊婦さんにも実施しております。

硬膜外麻酔とは

 妊婦さんの背中から細くて柔らかい管を硬膜外腔と呼ばれる部位に挿入し、そこから間欠的に薬液を注入することで痛みを和らげます。痛みが強くなった場合には、適宜専用のボタンを押すことで適切な量の薬液が自動的に追加注入されます。精密機器により管理されておりますし、適宜医師・助産師が適切な鎮痛が得られているかを確認します。薬液自体による赤ちゃんへの影響はほとんどありません。

硬膜外鎮痛画像

リスク

 無痛分娩では痛みが弱まる分、分娩時間が長くなる、児の回旋異常が起こりやすくなるといった傾向があり、陣痛促進剤の併用や吸引分娩などによるお手伝いが必要になる頻度が増加します。その他、麻酔の影響で一時的に妊婦さんの血圧が下がり胎児の心拍が低下する可能性や、薬剤によるアレルギーが生じる可能性があります。その他合併症に関しては、無痛分娩外来にて詳しくご説明させていただきます。
 分娩中、母体・胎児の危険な状態が予想される場合には、無痛分娩の中止や帝王切開術への切り替えを行う可能性があります。
 当院では万が一の場合に備えて、年数回の超緊急帝王切開シミュレーションおよび年1回の無痛分娩シミュレーションを行い、分娩時の母体・胎児の危機的状況に適切に対応できるよう訓練しています。

無痛分娩をご希望される方へ

 ご希望される方は外来受診時に医師または助産師にお申し付けください。34-35週頃に無痛分娩外来に受診いただき、産科医師よる問診、検査により実施可能と判断した方が対象となります。必ずご家族とご来院いただくようお願いいたします。
 無痛分娩は自費診療のため、当院では実施前の検査費等含め12~15万円程度でご案内しております。

※安全性を考慮して、硬膜外麻酔の開始は充分な人数の医療スタッフが勤務している平日の9:00~15:00の間のみ対象としております。土日祝日や夜間に陣痛発来された場合は、実施できませんのでご了承ください。今後、対応可能時間をさらに拡大して提供できるよう努めてまいりますのでご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。

その他、情報公開

 当サイトはJALA(無痛分娩関係学会・団体連絡協議会)の「無痛分娩診療体制情報公開事業」へ参画しており、当該サイトにて情報公開を行っております。
 当院では無痛分娩マニュアル、無痛分娩看護マニュアルを作成し適切に対応しております。
 麻酔担当医は、麻酔科医指導のもと麻酔科研修を行い、安全な無痛分娩を行うために適宜講習を受けています。

施設情報(産婦人科、麻酔科医師数)
2024年2月現在 常勤医師 非常勤医師
産科医師 10名 0名
麻酔科医師 6名 2名
医師合計数 16名 2名
分娩取り扱い実績
2023年度
(2024年2月時点)
2022年度 2021年度 2020年度
分娩件数 351 426 391 380
非無痛経腟分娩 230 290 248 248
無痛経腟分娩 2 3 1 0
帝王切開分娩 119 133 142 132
 分娩件数グラフ