肝細胞がん

肝細胞がんの特徴

 肝細胞がんのほとんどは、肝炎ウィルスによって肝臓全体が硬くなり、正常な肝細胞がダメージをうけることによっておこります。その為、一度治療しても肝臓内の別の場所から再発しやすいことを特徴とします。
 その他、アルコール、肥満や糖尿病なども原因となることがあります。

肝細胞がんの治療法

 肝細胞がんに対する治療方法は、陽子線治療、外科的切除、ラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法など多岐にわたります。病気の進み具合や肝臓の状態に応じて、治療方法を相談・決定します。
 陽子線治療は、体の外から陽子線を肝細胞がんに集中して照射する方法で、手術に匹敵する治療成績が、筑波大学などにより報告されています。肝機能が維持されていれば、繰り返して陽子線治療を行うことも可能です。また、一度に行わず照射を分割するため、手術と比較すると肝機能低下のリスクは低いと考えられています。

肝細胞がんの陽子線治療

陽子線治療の適応

以下の条件を満たす場合に適応となります。

  1. 病理学的に、もしくは、臨床的に診断された肝細胞がん(肝細胞がん以外の肝臓原発悪性腫瘍の場合はご相談ください)。
  2. 原則として、病巣は1か所であること。ただし、複数の病巣でも一つの照射野で治療可能であれば陽子線治療の適応とすることができます。
  3. リンパ節転移および遠隔転移がないこと。
  4. 肝不全(Child-Pugh分類:C)でないこと。

照射回数・治療期間

 通常、10回・2週間、または、20~38回・5~8週間で治療を行います。照射回数は、がん病巣の大きさ、位置、全身状態など、様々な要素を考慮して、適切な回数を医学的に決定します。
 肝臓は呼吸によって動くため、呼吸の一定のタイミング(息を吐いて、次に吸い始めるまでの期間)を狙って陽子線を照射する「呼吸同期照射」を行います。

治療費

・大型の肝細胞がん(長径4cm以上のもの)の陽子線治療は、公的医療保険の対象となります。
  ※ただし、手術による根治的な治療が困難なものに限る
・その他の肝細胞がんの陽子線治療は「先進医療」となっています。
 民間保険の先進医療特約の対象となりますので、ご加入の保険会社にご相談ください。

陽子線治療に伴う有害事象(副作用)

 照射部位の日焼けのような変化、倦怠感が起こることがあります。照射範囲に含んだ部位に応じて、肺炎、腎機能低下、肝機能低下、消化管出血、消化管穿孔や肋骨骨折といった副作用が出てくることがありますので、各専門医師と連携して注意深く対応しています。

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