肺がん

肺がんの特徴

 肺がんは、がん細胞の形態によって、いくつかの種類に分かれます。大きく分けると小細胞肺がんと非小細胞肺がんがあり、非小細胞がんはさらに細かく分かれています。
 また、肺がんが局所にとどまっているか、リンパ節に転移しているかにも注意が必要です。

肺がんの治療法

 手術療法が勧められていますが、基礎疾患のため手術が難しい場合や、患者さんが希望されない場合、X線治療や陽子線治療が選ばれます。

肺がんの陽子線治療

陽子線治療の適応

  1. 病理学的に診断された非小細胞肺がん。ただし、病理学的診断が得られない場合は、以下の条件を満たせば陽子線治療の対象となります。
    1. CT、PETなど2種類以上の画像検査で肺がんとして矛盾のない結果が得られていること。
    2. 2回以上の経時的な画像検査により肺がんと診断できる変化が認められること。
  2. 肺野型肺がんであること
  3. 高度の間質性肺炎を伴っておらず、呼吸機能の著名な低下がないこと
  4. 手術が困難と考えられる症例、または、手術拒否例。

照射回数・治療期間

 通常、2~3方向より、10回・2週間、または、20~37回・4~8週間で治療を行います。照射回数は、がん病巣の大きさ、位置、全身状態など、様々な要素を考慮して、適切な回数を医学的に決定します。
 近くのリンパ節に転移の見られる(進行期)の非小細胞肺がんの場合には、6~7週間かけて治療を行います。
 肺は呼吸によって動くため、呼吸の一定のタイミング(息を吐いて、次に吸い始めるまでの期間)を狙って陽子線を照射する「呼吸同期照射」を行います。

治療費

・早期肺がん(Ⅰ期~ⅡA期のもの)の陽子線治療は、公的医療保険の対象となります。
  ※ただし、手術による根治的な治療が困難なものに限る
・その他の肺がんの陽子線治療は「先進医療」となっています。
 民間保険の先進医療特約の対象となりますので、ご加入の保険会社にご相談ください。

陽子線治療に伴う有害事象(副作用)

 肺がんの治療に伴う副作用は、おもに皮膚炎、肺炎(せきや呼吸苦など)、肋骨骨折などがあります。
 陽子線照射の回数が増えていくと、照射している部分の皮膚に日焼け様の変化が出てきますが、通常は、治療終了後にゆっくりと元にもどっていきます。肺炎は照射後2~3か月以降におこることが多いですが、咳や呼吸苦などの症状を自覚される方はそれほど多くはありません。肋骨が照射野に含まれる場合には、その部位の肋骨骨折の危険性が増加します。
 副作用はもともとの肺機能、病巣の大きさおよび部位により異なるため、診察時に詳しく説明します。

当センターの治療成績

 限局期(T1-2N0M0)のものについて、2年、3年、5年局所制御率がそれぞれ94%、92%、87%と良好な成績を得られています。

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