食道がんの特徴
食道は口から胃に続く細い食物の通り道であり、頸部~胸部~腹部食道のどこにでも、多発性にがんが発症します。また早期から(食道がんの腫瘤が小さくても)リンパ節転移が発生する特徴があり、局所制御の難しいがんのひとつとされています。
食道がんの治療法
食道がんの治療法として、内視鏡を用いた治療や外科手術、化学放射線療法(放射線療法と化学療法(抗がん剤)を組み合わせた治療法)があります。
現在、可能であれば手術療法が薦められていますが、体への負担が大きいため、手術以外の治療法として化学放射線療法も行われます。ともに有害事象が有り、危険性もある治療法ですが、どれかひとつしかできない欠点があるため、主治医の先生と十分検討して決定することが薦められます。
当院では、外科・内科・病理の専門医と放射線治療の専門医が協力し、「混合照射法」(化学療法(抗がん剤)、放射線療法(X線)、陽子線治療を組み合わせた治療法)を用い、食道がんへより強い治療を行っています。
食道がんの陽子線治療
陽子線治療の適応
以下の条件を満たす場合に適応となります。
- T1b~T3、N0~N3、M0(#104リンパ節転移は可)であること。
- 抗がん剤(FP70)の使用が可能であること。
- 内視鏡検査が可能であること。
照射回数・治療期間
食道がんの混合照射法は、約2か月間の入院治療となり、副作用に注意しながら治療を行います。
まず、予防的リンパ節領域を含め、「抗がん剤とX線治療」を行います(38~40グレイ/20回、約1か月間)。
続いて局所(がんやリンパ節転移部)に集中して「抗がん剤と陽子線治療」を行います(20~32グレイ/10~16回、約2~3週間)。
陽子線治療のみを使用する場合も同様に、60~70グレイ/30~35回(約6~7週間)の治療となります。
治療費
食道がんの陽子線治療は「先進医療」となっています。
民間保険の先進医療特約の対象となりますので、ご加入の保険会社にご相談ください。
陽子線治療に伴う有害事象(副作用)
食道粘膜のダメージによる痛みや嚥下困難がほぼ全員に生じます。肺炎や心臓への副作用にも注意を要します。