頭頸部腫瘍(頭頸部がん)の特徴
頭頸部がんとは、人が生活するときに重要な、しゃべる、食べる、息をするなどの臓器である鼻、口、のど、あご、耳などの部分に発生するがんの総称です。頭頸部がんの約9割は、鼻、口、のど(咽頭・喉頭)などの表層にある扁平上皮組織ががん化した扁平上皮がんです。
頭頸部腫瘍(頭頸部がん)の治療法
頭頸部領域には生きていくために重要な器官が集中しています。したがって、頭頸部がんでは、治療効果と形態・機能を温存することのバランスを熟慮して、それぞれの患者さんに応じた最適な治療法を選択することが重要で、外科的切除、放射線治療、抗がん剤を用いる化学療法などを組み合わせた集学的治療がよく行われています。
頭頸部腫瘍(頭頸部がん)の陽子線治療
陽子線治療の適応
- 病理学的に診断された頭頸部腫瘍。ただし、喉頭がんは除く。
- 遠隔転移がないこと(ただし、腺様嚢胞がんの場合は、肺転移を有するものも適応となる可能性があります)。
照射回数・治療期間
予防的部位を含め、26~35回、約1.5~2か月間の治療期間が必要となります。
当センターの陽子線治療の特徴
当センターでは、手術が難しい進行した病変に対して、耳鼻科や放射線科と共同で、動注化学療法(がん病巣のすぐ近くの動脈までカテーテルという細い管を挿入し、そこから濃度の高い抗がん剤を直接腫瘍に注入する治療法)を、陽子線治療に併用することで治療成績の向上を図っています。
治療費
頭頸部腫瘍(頭頸部がん)の陽子線治療は、公的医療保険の対象となります。
ただし、口腔・咽喉頭の扁平上皮がんは「先進医療」となります。
陽子線治療に伴う有害事象(副作用)
例えば、陽子線が唾液腺に当たると唾液分泌が減少し、食べ物を飲み込みにくくなる、しゃべりにくくなるなど、さまざまな生活の質の低下が起こってきます。また、口腔内の粘膜や舌に治療した場合、食べるときに痛みが生じたり、味が一時的にわからなくなったりします。
このような副作用は、病巣の大きさおよび部位により異なるため、診察時に詳しく説明します。