福井県立病院 病院指標

療法における病院等の広告規制について(厚生労働省)

 この病院情報(7つの指標)の公表については、平成28年度から、全国のDPC対象病院で開始されました。DPC(診断群分類)では、どんなご病気で入院し、どんな手術や処置を受けるかにより、全国共通のコードで分類しています。
次の7つの指標は、昨年度の当院の診療実績について、全国共通のルール(下記の集計条件)に沿って集計しました。
<集計条件>
・令和6年4月1日から令和7年3月31日までの退院患者さんの診療実績です。ただし、入院後24時間以内あるいは生後7日以内に死亡された患者さんや、臓器移植を受けた患者さん等については、集計に含めておりません。
・10件未満の場合は、件数ではなく「-(ハイフン)」で表示しています。

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
患者さん用パスとは?
治療や検査の標準的な経過など、入院中の予定をスケジュール表にまとめた患者さん用の入院診療計画書です。

指標1 年齢階級別退院患者数【ファイルをダウンロード

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1,016 349 370 507 699 1,261 2,125 3,777 2,456 589



令和6年度退院患者数

 当院は、三次救急医療を担う救命救急センター、県がん診療連携拠点病院として先進的ながん治療を行うがん医療センターや陽子線がん治療センター、急性期中心のこころの医療センターなど、県全域をカバーする基幹病院として高度な医療を提供しており、新生児から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんの診療を行っています。
 特に、リスクの高い出産や低体重で生まれてくる赤ちゃんの治療を行う総合周産期母子医療センターがあるため、0歳代の患者さんが多くなっており、全体の7%以上を占めています。
 また、高齢化により、脳や心臓の血管の病気やがんの患者さん、呼吸器の患者さんが多く、60歳以上の患者さんが全体の約7割を占めています。

指標2 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)【ファイルをダウンロード


一般内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 29 2.45 3.58 3.45% 36.21 パス
170020xxxxxx0x 精神作用物質使用による精神及び行動の障害 定義副傷病なし 18 1.50 2.68 0.00% 37.17 パス
161060xx99x0xx 詳細不明の損傷等 手術なし 手術・処置等2なし 11 1.91 2.63 0.00% 35.18 パス
161070xxxxx01x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 定義副傷病あり -    -     6.07 -     -    
161070xxxxx1xx 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等21あり - - 8.87 - -
 救命救急センターはER方式(北米型救急)を採用し、軽症から重症の患者さんまで診療しています。生命にかかわる重大疾患の疑いのある方を最優先して診療するために、来院された患者さんにはトリアージを行い、診療の順番を決めさせていただいています(そのため、軽症の患者さんにはお待ちいただく場合があります)。初期治療の後で入院が必要となった場合は専門科医師に連絡し入院加療を行います。精神作用物質(睡眠剤など)・薬物(アルコールなど)の過量服用時の意識障害、食物、薬物、蜂刺されなどによりアレルギー反応が激しく起こるアナフィラキシー、そして、明らかな骨折はなくても疼痛の著明な外傷などの患者さんに対しては救急医が主治医となり短期の入院加療を行うことがあります。多くの患者さんは2-3日の入院加療で退院されますが、病状の経過によってはより長く入院を要したり、あるいは、人工呼吸・血液浄化療法などの高度な治療が必要となる患者さんに対しては集中治療室(ICU)で加療します。このような重症の長期入院の患者さんには専門科医師が継続して治療を行うことになっています。


消化器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 413 2.07 2.57 0.00% 67.74 パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎限局性腹腔膿瘍手術等手術・処置等2なし定義副傷病なし 125 9.14 8.88 4.00% 78.09 パス
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 64 7.38 7.45 0.00% 73.67 パス
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 58 6.86 7.60 0.00% 67.17 パス
06007xxx9900xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 48 11.58 11.01 0.00% 76.67

 


呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺がんの検査 109 2.17 3.03 0.00% 71.37 パス
040040xx99040x 肺がんの化学療法 94 6.74 8.16 1.06% 71.84 パス
0400802499x0xx 高齢者の市中肺炎 88 13.89 16.40 17.05% 82.42 パス
040040xx990Axx 肺がんの免疫療法 74 10.23 9.78 0.00% 69.03 パス
040150xx99x0xx 肺膿瘍・膿胸などの感染症 58 17.93 22.28 8.62% 71.31 パス
 呼吸器内科では肺がん検査と薬物治療の患者さんが最も多くなっています。EGFRチロシンキナーゼ阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新しい抗がん剤治療を積極的に使用しています。さらに、陽子線治療等の最新の放射線治療装置を使っての放射線療法も行っており、幅広い治療法を選択できることが当科の強みです。そのためには肺がんの診断を迅速に正確に行うことが最重要と考え、主な肺がん検査の気管支鏡検査を1泊2日入院で安全に行っています。
 第3位、第5位には、呼吸器感染症の市中肺炎や肺膿瘍、膿胸の診療が多くなっていますが、感染症専門医による適切な診断・治療を行っていますので、安心して受診してください。


循環器内科 脳心臓血管センター

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 138 4.25 4.18 0.00% 68.97 パス
110280xx03x0xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 内シャント血栓除去術等 手術・処置等2なし 129 1.57 3.82 2.33% 71.68 パス
050070xx03x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2なし 96 4.24 4.47 0.00% 67.43 パス
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし他の病院・診療所の病棟からの転院以外 90 17.10 17.33 24.44% 84.36 パス
050050xx9920xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等12あり 手術・処置等2なし 72 3.07 3.27 0.00% 70.82 パス
慢性虚血性心疾患に対するPCI(経皮的冠動脈形成術)が多くを占め、急性心筋梗塞に対する緊急PCIも多くの症例に対して治療しています。近年透析シャントに対するVAIVT(バスキュラーアクセス拡張術)、末梢動脈疾患に対するEVT(末梢血管形成術)、不整脈に対するCA(カテーテルアブレーション、心筋焼灼術)が着実に増加しています。心不全入院症例は高齢化、疾病構造の変化により増加傾向で、高齢者が多いことから在院日数が長くなっていますが、全国平均を下回っています。



腎臓・膠原病内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 30 14.33 11.35 20.00% 67.60 パス
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 29 15.55 13.75 0.00% 69.72
110280xx03x0xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 内シャント血栓除去術等 手術・処置等2なし 25 3.28 3.82 16.00% 71.60
070560xxxxx00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 23 18.35 14.93 4.35% 61.74
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等21あり 23 39.13 33.81 13.04% 73.43

1.    慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全
最も多く診療しているのは、慢性腎炎症候群、慢性間質性腎炎、慢性腎不全です。腎機能が急速に悪化した方、脱水症などの合併症で入院される方、またIgA腎症に対してステロイドパルス療法を受ける方など、幅広い患者さんが含まれます。腎臓病は自覚症状が少ないことが多いですが、治療により腎炎の寛解や腎不全の進行抑制を目指しています。
2.透析患者さんの合併症
次に多いのは、維持透析中に感染症や心不全を合併し、入院治療を必要とする症例です。当院は透析合併症に対応する体制を整え、地域の患者さんを支えています。
3.透析シャントの血栓除去術など
3番目は、維持透析患者さんで、内シャントが使用できなくなり、カテーテルによる血栓除去術などを必要とする症例です。透析患者さんの高齢化で内シャントの問題が増えており、緊急入院が必要になることも少なくありません。治療が奏功すれば短期間で退院が可能です。
4.自己免疫疾患・膠原病
多様な臓器障害を伴う全身性エリテマトーデスや血管炎などは、診断や治療が難しい場合があり、専門的かつ幅広い知識が求められる疾患です。当院は腎臓・膠原病内科を中心に他科と連携し、総合的に診療できることが強みです。
5.透析シャント手術
5番目は、慢性腎不全、維持透析中の患者さんで、動脈形成術や吻合術といった内シャントの手術を要する症例です。手術は心臓血管外科が担当し、豊富な経験をもとに多数の手術を行っており、地域の透析医療を担っています。


内分泌・代謝内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等21あり 97 11.97 13.77 2.06% 65.29 パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 22 20.50 20.78 31.82% 82.68 パス
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡手術・処置等2なし定義副傷病なし 15 11.73 13.07 6.67% 53.60 パス
100393xx99xxxx その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害 手術なし 15 13.13 9.83 13.33% 73.20
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 15 14.33 13.66 46.67% 75.60

最も多い入院患者さんは、血糖値を良くするために入院された2型糖尿病の患者さんです。入院して血糖値をコントロールしながら合併症の検査や糖尿病に対する学習をして知識を得ていただきます。血糖コントロールを目指す治療として、食事・運動・薬物療法があります。薬物療法は、まずはインスリンによる治療を行います。インスリン治療は、血糖値を下げるだけでなく、御自身の膵臓を休ませる効果もあります。血糖値が安定すると、インスリンを中止できる患者さんもたくさんいます。糖尿病は治療の継続が何より重要です。治療を継続するために、糖尿病の知識や日常生活における注意点など学んで頂けるよう、複数の医療スタッフが支援させて頂きます。当院には、糖尿病教育入院があり、医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、検査技師等がチーム医療を行い、患者さんとともに、患者さんの生活に適した治療を考えるようにしています。糖尿病の治療経過中に何らかの原因で急激に血糖コントロールが悪化し、糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡など高血糖による急性合併症を発症してしまう場合もあり、高血糖の治療とともに、その発症の原因となった疾患の治療も行います。一般内科疾患として、誤嚥性肺炎や尿路感染症、低ナトリウム血症、低カリウム血症など電解質異常の入院も担当しています。


血液・腫瘍内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130060xx97x40x 骨髄異形成症候群 手術あり 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 53 12.40 18.57 3.77% 78.68 パス
130010xx99x9xx 急性白血病 手術なし 手術・処置等29あり 52 8.85 12.45 0.00% 77.08 パス
130010xx97x9xx 急性白血病 手術あり 手術・処置等29あり 51 29.22 34.69 0.00% 73.33 パス
130030xx99xBxx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2Bあり 47 8.72 12.23 0.00% 72.91
130030xx99x6xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等26あり 46 9.17 15.67 0.00% 67.41 パス

1番目に多く入院されるのは急性白血病の患者さんです。急性白血病の治療には主に70歳までの方におこなう「強い治療」と、ご高齢の方や他の病気の合併症がある方に行う「やや弱い治療」があります。「強い治療」は私たちの最も得意とする分野です。最近は人口の高齢化にともない「強い治療」ができない方が増えてきましたが2018年以降はゾスパタ、ヴァンフリタ、ベネクレクスタ、ディブソボという新薬が次々と認可され「やや弱い治療」が大きく進化しています。私たちは「やや弱い治療」の経験を積みあげ十分に使いこなす事ができます。「強い治療」「やや弱い治療」どちらも入院が必要で患者さん・ご家族様にとってご負担は大きいのですが、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、リハビリテーションスタッフなど全職種が協力して、治療を完遂できるようサポートさせていただきます。

2番目に多く入院される患者さんは非ホジキンリンパ腫の患者さんです。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対して2021年にポライビーが認可され、治療成績の向上がさらに期待できるようになりました。再発された方でもトレアキシン、イムブルビカ、ベレキシブルなどの新薬が使えるようになり様々な治療選択がとれるようになってきました。

3番目に多く入院されるのは骨髄異形成症候群の患者さんです。ビダーザというお薬は骨髄異形成症候群に対する効果が骨髄移植以外で唯一証明されている治療法です。骨髄移植が適応とならない70歳以上の方にお勧めしています。1回あたりの治療時間は30分程度と短いのですが、1週間連続して治療を行いますのでこの期間は入院していただきます。入院期間中に輸血を受けて頂く方もいます。


脳神経内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x40x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 76 13.22 16.89 34.21% 75.57
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 20 16.25 13.66 40.00% 82.80
010080xx99x0x1 脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし 手術・処置等2なし15歳以上 15 24.20 15.94 26.67% 58.27
010130xx99x4xx 重症筋無力症 手術なし 手術・処置等24あり 15 10.07 15.11 0.00% 38.60
010110xxxxx40x 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 14 20.07 15.45 21.43% 51.00
脳神経内科に入院される患者さんの約半数が脳血管障害の患者さんです。そして、そのほとんどが脳梗塞の方になります。脳梗塞の急性期治療を終えられた患者さんのうち、症状が軽い方はご自宅へ退院されています。麻痺等の症状がある方はリハビリのための入院が必要になります。


小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 106 5.75 6.22 0.00% 1.25 パス
0400801199x0xx 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2なし 60 6.05 5.61 0.00% 5.47
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 54 7.26 6.11 0.00% 0.04
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2なし 44 17.02 11.83 6.82% 0.05
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2なし 38 3.71 5.55 0.00% 3.76

 当院小児科では、一般的な病気から専門性の高い病気まであらゆる疾患群の診療に対応しており、小児の二次・三次救急を担当しているため、軽症からICUでの集中治療を必要とする重症まで様々な重症度の患者さんの入院を受け入れています。肺炎、気管支炎などの呼吸器感染症をはじめとする急性疾患については、基礎疾患のある方、新型コロナウイルス・RSウイルスなどの感染症のある患者さんを含め、集中治療を要する重症例の転院依頼も受け入れています。慢性疾患についても、各小児科医師の専門性を活かして入院での検査や治療を継続しています。令和6年度も感染症の流行が続き、呼吸器や消化管感染症を含め、感染症に関係する入院も多くなっています。的確な診断で効率の良い加療を行い、入院期間の短縮を目指しています。また、当院の母子医療センターでは、出生時体重1000g未満を含む低出生体重児や手術が必要な児などの重症新生児の治療を行っており、福井県の総合周産期母子医療センターとして数多くの診療経験を有しています。迎え搬送により急性期の新生児を他院から受け入れたり、母体搬送後に院内で安全に分娩管理した上でのNICUにて出生時の入院治療を行っています。当院NICUでの治療により全身状態が安定した新生児は、地域周産期母子医療センターと連携して転院治療を継続して頂くことで、一人でも多くの重症新生児を受け入れ地域医療に貢献出来るように努力しています。


外科・がん医療センター

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 102 4.00 4.54 0.00% 68.66 パス
060335xx0200xx 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 93 6.01 7.05 0.00% 66.58 パス
040040xx02x0xx 肺の悪性腫瘍 肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの等 手術・処置等2なし 88 7.10 9.82 0.00% 69.30 パス
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 79 11.96 14.81 1.27% 73.80 パス
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1なし 75 9.28 9.77 0.00% 61.61 パス
 当科では、各臓器の腫瘍性疾患(がん)に対してのロボット支援下手術をはじめとした低侵襲手術の高度医療を施行し患者さんの負担軽減に努めています。図表に示すように頻繁な手術である鼠径ヘルニアも患者さんの状態にあわせ実施しております。さらに救急医療への対応も行っており、急性胆嚢炎や急性虫垂炎など緊急手術が必要な患者さんを多く受け入れ、積極的に腹腔鏡下手術を行い、より早期の退院を可能としてきました。図表には最近増加傾向の肺癌や大腸癌の患者さんに対しても、胸腔鏡・腹腔鏡を用いて手術を行うことで、患者さんへの負担を少なくして、より早期の退院を可能としています。R6年度の手術件数はR5年度に比べ横ばいですが、患者さんの高齢化にも関わらず、入院期間や転院率の減少を認め、より回復が早く安全・安心な手術に努めております。


心臓血管外科 脳心臓血管センター

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤ステントグラフト内挿術手術・処置等2なし 49 9.59 10.18 2.04% 75.90 パス
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全動脈形成術、吻合術 その他の動脈等手術・処置等2なし定義副傷病なし 32 4.69 7.38 6.25% 69.78 パス
050161xx9900xx 大動脈解離手術なし手術・処置等1なし手術・処置等2なし 23 11.91 16.32 13.04% 76.78 パス
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患下肢静脈瘤手術等 20 2.00 2.66 0.00% 67.85 パス
050161xx01x1xx 大動脈解離 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 手術・処置等21あり 19 20.74 29.35 15.79% 65.63 パス

1位は、腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術
2位は、慢性腎不全に対する内シャント造設術
3位は、急性B型大動脈解離に対する降圧療法
4位は、下肢静脈瘤に対するストリッピング手術
5位は、急性A型大動脈解離に対する人工血管置換術

 腹部大動脈瘤の外科的治療のおよそ7割でステントグラフト内挿術を行っています。一方、胸部大動脈瘤でのステントグラフト内挿術は3割になります。ステントグラフト手術数は、現在では500例を超えています。当院には最先端の放射線透視装置を備えたハイブリッド手術室がありますので、精度の高い治療が可能です。福井県内で唯一の胸部大動脈瘤ステントグラフト指導医が在籍する施設であり、その責務は大きいと考えています。
 急性A型大動脈解離では、積極的にオープン型ステントグラフトを用いた上行弓部大動脈置換術を行っています。大動脈解離、大動脈瘤破裂、急性心筋梗塞といった緊急性のある疾患に対しては休日・夜間を問わず対応しています。スタンフォードB型大動脈解離の場合は、基本的に内科的治療になります。
 内シャント設置術では自己血管を用いることを基本としています。そのため、尺側皮静脈転位法も積極的に行っています。良好な静脈がない場合には人工血管を使用しています。
 下肢静脈瘤の手術法は、局所麻酔でのストリッピング手術になります。1泊2日の入院になります。


整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx02xxxx 股関節・大腿近位の骨折人工骨頭挿入術 肩、股等 147 21.83 25.29 82.99% 81.19 パス
070343xx02x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎内視鏡下椎弓切除術等手術・処置等2なし 85 9.05 11.25 4.71% 69.21 パス
070350xx01xxxx 椎間板変性、ヘルニア内視鏡下椎間板摘出(切除)術 後方摘出術等 72 8.35 9.35 2.78% 56.00 パス
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 48 17.21 18.76 10.42% 69.42 パス
160760xx01xxxx 前腕の骨折 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨等 29 4.79 5.95 3.45% 64.72 パス

 整形外科で最も多い傷病名の分類は大腿骨近位部骨折に対する人工骨頭挿入術です。この骨折は高齢者の代表的な骨折であり、寝たきりにならないようにほとんどの患者さんに手術治療を行っています。福井県では多くの医療機関が連携した大腿骨頚部骨折地域連携パスを運用しており、当院は手術を担当する急性期病院となっていますので、手術後8割以上の患者さんは3週間ほどで地域連携パスを用いて回復期病院へ転院して頂き、継続的にリハビリを受けて頂いています。
 2番目に多い傷病名の分類は脊柱管狭窄症に対する内視鏡下椎弓切除術等です。内視鏡下椎弓形成術を主に行っていますが、当院には脊椎内視鏡下手術が可能な医師が2名常勤しており、様々な脊椎疾患に対して積極的に内視鏡下手術を行っています。術後創部痛が少なく、回復も早いのが特徴であり、平均9日で退院可能です。 
 3番目に多い傷病名の分類は腰椎椎間板ヘルニアに対する内視鏡下椎間板摘出術です。腰部脊柱管狭窄症と同様、腰椎椎間板ヘルニアに対しても積極的に内視鏡下手術を行っています。術後創部痛が少なく、回復も早いのが特徴であり、平均8日程度で退院可能です。
 4番目に多い傷病名の分類は変形性股関節症や大腿骨頭壊死症に対する人工関節置換術です。当院では令和5年5月から人工股関節置換手術支援ロボット「ROSA Hip」を用いたロボット支援下人工股関節置換術を福井県で初めて導入しており、正確なインプラント設置や早期の術後回復が得られています。
 5番目に多い傷病名の分類は前腕骨折の手術ありですが、その多くは手関節近くの骨折です。術後すぐに歩行できるため、数日で退院可能です。


形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 手術あり 手術・処置等1なし 10 2.90 4.65 0.00% 49.90
160200xx030xxx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1なし - - 11.25 - - パス
090010xx05xxxx 乳房の悪性腫瘍 ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術(乳房切除後) - - 9.35 - -
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし - - 18.76 - - パス
100100xx97x0xx 糖尿病足病変 手術あり 手術・処置等2なし - - 5.95 - -
 当院は3次救急病院のため、外傷患者さんを多数受け入れています。そのうち、形成外科では、主に顔面外傷や熱傷の患者さんの診療を行っています。
 顔面外傷、特に顔面骨骨折の治療を行う際には、できるだけ目立たない部分に、できるだけ小さい皮膚切開での手術を心掛けています。整復後の固定には、吸収性のプレート・スクリューを用いて(強固さの問題で使えない場合もありますが)、後に問題を残さないようにしています。
 皮膚・骨・軟部腫瘍手術時には、術後に残る線状痕を皮膚皺線に合わせるなど、傷跡ができるだけ目立たなくなるよう心掛けています。
 また膿皮症、熱傷等の外傷や腫瘍切除後の皮膚潰瘍や欠損の患者さんに対しての全層および分層の植皮術も多数行っており、この際も、整容的に、また植皮によるひきつれをできるだけ起こさないよう留意しながら、手術治療を行っています。
 最近は、乳癌手術後に乳房再建を希望される患者様が増えてきました。乳房再検手術時には、乳腺外科医師と協力し、できるだけ乳癌手術前の形態に近くなるよう、また傷跡を最小に抑えるよう心掛けています。
 糖尿病が原因の下肢の血行障害による皮膚潰瘍や壊疽の患者さんが増えています。循環器内科医師による血管内治療と併せて、できるだけ下肢の温存を図る外科的治療を行っています。
 
脳神経外科 脳心臓血管センター

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) 手術なし 手術・処置等2なし 58 22.16 22.21 65.52% 73.59 パス
160100xx97x01x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病あり 53 12.13 22.15 20.75% 73.36 パス
160100xx99x01x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病あり 47 13.47 19.12 25.53% 64.94 パス
010060xx99x41x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等24あり 定義副傷病あり 40 17.38 29.66 52.50% 74.93
010030xx991xxx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1あり 15 4.47 2.86 0.00% 59.80 パス

脳神経外科は年365日24時間体制で脳血管障害・頭部外傷などの救急疾患に対応しております。ドクターヘリ・救急車を活用し福井県の約25%の患者さんが当院に搬送されて、速やかに治療されております。脳血管障害の患者さんは年間500例入院されておりますが、脳梗塞急性期の患者さんにはtPA血栓溶解療法・カテーテルによる経皮的脳血栓除去術が行われております。脳動脈瘤の患者さんにはカテーテルによる脳動脈瘤塞栓術もしくは開頭クリッピング術が施行されています。手術室で全身麻酔下に血管撮影の行えるハイブリッド手術室がありより安全に手術が可能です。脳腫瘍の患者さんは年間40例手術を施行しております。手術顕微鏡・内視鏡・外視鏡などの最先端の技術・機器を駆使して安全に手術を行うことを心がけております。悪性腫瘍の患者さんには高度先進医療である陽子線治療も適応されております。良性腫瘍では髄膜腫・下垂体腫瘍・聴神経腫瘍を中心に手術加療をしております。そのほか機能的脳神経外科として三叉神経痛・顔面痙攣の手術を行っております。


皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 30 13.27 12.98 3.33% 63.70 パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 30 7.30 9.33 0.00% 66.73 パス
080190xxxxxxxx 脱毛症 15 3.00 3.29 0.00% 39.93 パス
070395xx970xxx 壊死性筋膜炎 手術あり 手術・処置等1なし - - 35.40 - -
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - 3.58 - - パス

 分類上位2つの診断群は、疾患の特性もあって、ほとんどが緊急入院の患者さんです。全国データの平均在院日数と比較して当院では、蜂窩織炎の在院日数が長めですが、当院は三次救急医療機関であるための重症症例や、高齢などを背景に転院先調節を要する症例が少なからずあり、これらの期間延長を反映した数値と考えています。逆に帯状疱疹は短縮の傾向にありますが、早期入院加療の好影響もあるか治療結果は問題なく良好です。
 脱毛症に対しては、入院の上でステロイドパルス療法を行っています。3日間注射予定の入院で、全例予定通りの退院となりました。
下位の重症疾病や薬疹どの診断群については、入院加療が可能な施設は県内でも限られます。必要に応じた侵襲的治療や免疫抑制療法などを、日本皮膚科学会の標準的治療に準じて行っています。
 記載以外の疾患において、特に乾癬やアトピー性皮膚炎では、外用療法で効果不十分な症例に対しては内服薬や光線療法を追加し、さらに重症例では注射による生物学的製剤あるいは免疫抑制剤の導入を行っています。
 その他の疾患においても、基幹総合病院の特色を活かして他科との連携を図りながら、最新最善の医療を提供できるように努めています。なお、当科における診療方針として、 可能なものは手術も含めて外来での診療を基本に検討しています。


泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍手術なし手術・処置等1あり 111 2.88 2.45 1.80% 73.03 パス
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術手術・処置等2なし 82 5.17 6.81 0.00% 73.77 パス
110080xx03xxxx 前立腺の悪性腫瘍経皮的放射線治療用金属マーカー留置術 52 2.00 2.59 0.00% 71.60 パス
11012xxx03xxxx 上部尿路疾患 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき) 52 2.08 2.40 0.00% 58.42 パス
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍前立腺悪性腫瘍手術等 42 9.02 11.11 0.00% 69.02 パス

 検診等でPSA高値の場合、積極的に前立腺針生検検査を行っています。鎮痛剤を注射したのち、肛門から挿入した示指ぐらいの太さの超音波の器械をガイドに、前立腺の10箇所から針で検体を採取する検査です。1泊2日で行っております。
 残念ながら、前立腺癌と診断された場合には、ロボット支援下腹腔鏡下手術(お腹に6箇所穴を空けて、ロボット用手術器具を挿入して行う精緻な手術)を積極的に勧めています。また、陽子線治療も行っています。より精密な陽子線治療を行うため、下半身麻酔下に前立腺に3mm大の金属マーカーを留置しています。  尿管結石に対しては、可能な限り、体にドーム型の器械をあてて、衝撃波で砕いています。1泊2日で行っています。


産科・婦人科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常子宮全摘術等 57 8.84 9.40 0.00% 33.28 パス
120010xx99x30x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等23あり 定義副傷病なし 50 8.14 4.12 0.00% 60.54 パス
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 49 6.04 5.97 0.00% 45.73 パス
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 44 6.61 5.88 0.00% 45.89 パス
120140xxxxxxxx 流産 35 1.80 2.44 0.00% 36.20 パス

 高齢妊娠などで合併症妊娠が増加しており、元気な赤ちゃんを出産するための帝王切開の重要性が増しています。当院は総合周産期母子医療センターを併設しているため、ハイリスク妊娠の妊婦さんが多く集まります。そのため、全分娩に占める帝王切開率が約30%となっていますが、ほとんどの方が元気な赤ちゃんを出産されています。
 子宮の左右には卵巣卵管があり、合わせて付属器と呼ばれます。付属器が悪性腫瘍化すると、卵巣がん卵管がんとなります。薬物治療と手術療法が治療の主体であり、薬物治療では、以前より使用されていた細胞傷害性薬剤の他、分子標的薬、PARP阻害剤などの新しい薬剤が、入院或いは外来にて使用されています。
 卵巣は女性の体の中で最も腫瘍の種類が多い臓器です。がんの様なものもありますが、その頻度は低く、皮様嚢腫(卵巣内に脂肪や毛髪がたまるもの)や子宮内膜症性嚢胞(卵巣内にチョコレート色の血液がたまるもの)、あるいは、唾液のような粘液がたまったり、尿のようなさらさらした水がたまるものなどの良性腫瘍が比較的多い状況です。これらの多くは薬物では完治しないので、腹腔鏡を用いて病巣部だけ摘出したり、あるいは、付属器全部を摘出したりします。腹部をほとんど切開しないので痛みも軽度で入院期間も短くなっています。
 子宮筋腫などで子宮を摘出する手術には、お腹を10cm程度切開し子宮を摘出する方法(腹式子宮全摘出術)、お腹に一切傷をつけず膣から子宮を摘出する方法(腟式子宮全摘出術)、腹腔鏡やロボットを使って子宮を摘出する方法(腹腔鏡下腟式子宮全摘出術、ロボット支援下子宮全摘術)があります。いずれを選択するかは子宮の大きさ、癒着の程度、経腟分娩の有無などを参考に患者さんと相談しながら決めています。腹腔鏡やロボットを使って子宮を摘出する方法は、出血量の少なさ、手術侵襲の低さ、高度癒着症例にも対応できるなどの応用力の高さから、有用な方法であり、近年当院では実施回数が増えています。
 流産は妊娠の1から2割で生じます。最近は、流産が確定した後直ぐに手術による子宮内容排出を行うケースは減っています。大半のケースは数週間内に自然排出となります。自然排出に至らないケース、不完全な排出で終わるケース、何らかの理由で手術が必要なケースには流産手術が入院にて行われます。手術による合併症を減らす方法として手動真空吸引法が採用されています。


眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患手術あり片眼 337 1.73 2.49 0.00% 74.42 パス
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患手術あり両眼 50 3.64 4.29 0.00% 72.58 パス
020200xx9710xx 黄斑、後極変性手術あり手術・処置等1あり手術・処置等2なし 10 5.10 5.47 0.00% 69.10 パス
020240xx97xxx0 硝子体疾患手術あり片眼 - - 4.83 - - パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2なし - - 2.74 - - パス

白内障に対する手術が最も多く、片眼の場合は日帰りまたは1泊2日入院で、両眼の場合は3泊4日入院で治療を行っています。網膜硝子体疾患(黄斑前膜、黄斑円孔などの黄斑疾患あるいは、糖尿病網膜症など)の手術がこれに次いで多くなっています。患者さんの負担を少なくして早く退院できるよう、広角眼底観察システムを用いた極小切開硝子体手術(25ゲージまたは27ゲージ)を導入しています。手術について不安の強いかたには、低濃度笑気による吸入麻酔をおこなっています。


耳鼻いんこう科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030428xxxxx0xx 突発性難聴 手術・処置等2なし 53 7.47 8.21 0.00% 63.13 パス
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 47 5.06 5.84 0.00% 50.47 パス
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 42 5.55 5.63 0.00% 38.88
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 40 5.55 6.68 0.00% 59..98 パス
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 31 5.84 4.67 0.00% 68.13

突発性難聴は突然耳が聞こえにくくなる疾患で、発症後できるだけ早期に治療を始めています。
慢性副鼻腔炎の手術は、全例でナビゲーションを使用して安全性を確保しています。入院期間や術後治療の期間が短く満足度の高い手術となっています。
扁桃周囲膿瘍に対して、早期に扁桃周囲膿瘍切開術を行い、速やかな治癒をめざしています。
頭頚部腫瘍は、短期間の入院で、安全性と整容(手術跡の見た目)に配慮した手術を実施しています。


核医学科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100020xx99x2xx 甲状腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等22あり 24 4.50 5.83 0.00% 55.08 パス
06007xxx9909xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等29あり - - 3.19 - - パス
060040xx99xAxx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2Aあり - - 3.21 - - パス
100020xx99x5xx 甲状腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等25あり - - 8.46 - - パス
180050xx99x4xx ■その他の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり - - 3.17 - - パス

核医学科では様々な種類の放射性物質を用いた放射線治療(標的アイソトープ治療)に取り組んでおります。令和4年度より神経内分泌腫瘍の治療が追加となり、令和6年度より専用治療病室を増設いたしました。当該治療専任の放射線治療専門医が行っており、県内外から広く患者さんを受け入れております。標的アイソトープ治療に特化した専門医や設備を有する医療機関は全国的にも希少であり、最先端の治療にいち早く対応できる体制を整えているのが当院の特色です。
 

指標3 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数【ファイルをダウンロード

初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 79 13 11 46 6 24 1 UICC第8版
大腸癌 52 50 49 65 7 48 1 UICC第8版
肝癌 7 25 25 6 1 75 1 UICC第8版
肺癌 89 33 56 150 52 137 1 UICC第8版
乳癌 61 63 40 21 0 18 1 UICC第8版

※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

当院の令和5年度における5大癌の病期分類と初発、再発患者数です。このデータは検査や治療途中の患者さんの状況を含んでいるため、がん登録からのデータとは異なり、厳密には正確な数字を表しているわけではありませんが、当院のある程度の立ち位置を示しているものと考えられます。

令和6年度は、新型コロナ感染症の影響(令和3年から5年、がん検診の中止、病院の受診控え)が終息し、がん診療において平静を取り戻した時期に相当します。

前年度までの状況との比較を各臓器別に見ていくと、胃癌でのStage I, II(早期)患者の著明な減少、肺癌のStage I(早期)、乳癌のStage II(早期)患者の増加が目立ちます。一方で、Stage IV(進行、転移)症例は大腸癌で減少、肺癌、乳癌で増加が目立ちます。その他、例年の傾向として、胃癌、乳癌は早期発見の方(Stage I)が非常に多いのに対し、大腸癌、肺癌は進行した方(Stage IV)が多いことが示されています。

これらのことは、福井県立病院が福井県内を代表してがん検診や人間ドックを推進していることが、胃癌、乳癌では早期の患者さんの発見、治療に結びついているのに対し、肺癌、大腸癌などでは、新型コロナ後の受診控えの影響が尾を引き、進行した患者さんが当院救命救急センターなどに受診される状態が継続していることを示しているといえます。

進行したがんとなる前に、日頃から生活習慣の改善に心がけ、がん検診や人間ドックを定期的に受けることを心がけましょう。

指標4 成人市中肺炎の重症度別患者数等【ファイルをダウンロード

患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 44 9.25 52.27
中等症 136 12.15 74.01
重症 48 23.17 77.65
超重症 25 17.80 83.76
不明 - - -

 市中肺炎とは、病院外で日常生活をしていた人に発症した肺炎です。成人市中肺炎のなかでは入院適応となる中等症患者さんの入院が最も多い状況です。軽症から中等症、そして重症へと病気が重くなるにつれて、治療に日数がかかります。
 全国では肺炎で亡くなられる方の97.5%が65歳以上、当院でも95.0%が65歳以上で、重症化する前の早期発見、早期治療が非常に大切です。咳や発熱、呼吸困難などの症状がありましたら、早めにかかりつけ医を受診してください。肺炎兆候がありましたら、紹介医を通じて呼吸器内科で対応させていただきます。また、当院救急外来は24時間対応を行っています。さらに当院は集中治療室(ICU)と高度治療室(HCU)を有していますので、超重症肺炎にも十分に対応可能です。

指標5 脳梗塞の患者数等【ファイルをダウンロード】 

ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
I63$ 脳梗塞                        3日以内 206 18.38 75.58 40.71%
その他 20 16.00 69.85 3.54%

 脳梗塞の患者さんについては、主に脳神経外科と脳神経内科で診療に当たっています。当院は高度急性期病院であるため、脳梗塞を発症して3日以内の急性期の患者さんが9割以上を占めています。
 

指標6 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)【ファイルをダウンロード

 
循環器内科 脳心臓血管センター

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 初回 118 0.05 0.53 2.54% 71.45 パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 89 2.08 2.83 0.00% 70.52 パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 71 1.11 2.63 1.41% 69.28 パス
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 51 1.14 4.94 13.73% 74.61 パス
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) 43 0.33 13.58 2.33% 70.79 パス

慢性虚血性心疾患に対するPCI(経皮的冠動脈形成術)が多くを占め、急性心筋梗塞に対する緊急PCIも多くの症例に対して治療しています。近年透析シャントに対するVAIVT(バスキュラーアクセス拡張術)、末梢動脈疾患に対するEVT(末梢血管形成術)、不整脈に対するCA(カテーテルアブレーション、心筋焼灼術)が着実に増加しています。


腎臓・膠原病内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 37 10.11 24.00 8.11% 69.89 パス
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 初回 21 0.67 3.86 19.05% 73.43 パス
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) - - - - パス
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 - - - - -
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(1の実施後3月以内に実施) - - - - - パス

最も多く行われている手術は内シャント造設術です。腎不全の患者さんが血液透析を始めるときや、透析患者さんで内シャントが使えなくなったときに実施されます。手術は心臓血管外科の医師が担当しています。
次に多いのは経皮的シャント拡張術・血栓除去術(VAIVT)です。内シャントの働きが弱くなったり、急に閉塞した場合に、循環器内科の医師がカテーテルを用いて治療します。さらに、内シャントの手術では、吻合する血管が少ない場合に、人工血管を使った移植術やバイパス移植術が行われることがあります。また、腹膜透析を始める際には、腹腔内にカテーテルを留置する手術が行われます。


血液・腫瘍内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植) 11 4.64 2.55 0.00% 57.64
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) - - - - -
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) - - - - - パス
K6112 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) - - - - - パス
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 - - - - -
主に65歳未満の多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫の方には強力な抗がん剤治療で治療成績を向上させることができます。そのためにはご自身の血液を作る細胞を採取し凍結保存しておく必要があります。細胞の採取は2日間連続で行い1回3時間程度です。採取中の状態観察や専用機器の操作を透析室の熟練したスタッフが行い安全性を確保しています。
 
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9131 新生児仮死蘇生術 仮死第1度のもの 15 0.00 36.73 26.67% 0.00
K7151 腸重積症整復術 非観血的なもの - - - - -
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - - パス
K9132 新生児仮死蘇生術 仮死第2度のもの - - - - -
K2762 網膜光凝固術 その他特殊なもの(一連につき) - - - - -
 当院の母子医療センターでは、早産児、低出生体重児(超早産児・超低出生体重児を含む)や、手術を必要とするような重症新生児の治療を行っています。そのような児では出生時から呼吸や循環の状態が非常に悪いことが多いため、小児科医が出生時に立ち会い、酸素投与や人工呼吸などの処置(蘇生術)を直ちに行うことで状態を改善させ、引き続きNICUで集中治療を行っています。
 一般小児科診療においては、開業小児科クリニックからの様々な御紹介に他科と連携して対応しています。当院には小児外科部門があるため、整復困難な腸重積症も診療可能で有り、また、逆に年少児や基礎疾患のある方の外科治療に関しては、小児科が全身管理を担当することによって、安全な手術を行えるように体制を整えています。
 
外科・がん医療センター

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 109 0.80 8.31 0.00% 67.50 パス
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 89 0.87 1.71 0.00% 48.28 パス
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 81 2.60 9.48 2.47% 74.40 パス
K6335 ヘルニア手術(鼠径ヘルニア) 77 0.82 1.58 0.00% 38.25 パス
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 52 0.54 2.77 0.00% 28.19 パス

 当院では新型コロナウイルス感染症が拡大している状況にあっても、救急医療を維持してきました。緊急手術の適応となる急性胆嚢炎に対する外科手術も制限することなく施行してきました。手術においては早期退院が可能な腹腔鏡下手術を積極的に行っています。R5年度の腹腔鏡下胆嚢摘出術件数は114件でR4年度より減少していますが、これは前年度新型コロナウィルス感染の蔓延で近隣の病院が緊急手術を制限したため当院での受け入れが多かったためと考えています。
 鼡径ヘルニアは脆弱になった腹壁の穴から腸管が飛び出してくるようになった状態です。手術で腹壁の穴をふさぐことになりますが、当科では腹腔鏡下鼡径ヘルニア手術を多く行っています。手術後の疼痛軽減が早いため、手術後2日程での退院となっています。腹壁瘢痕ヘルニアとは過去に腹部手術を行った切開創部の腹壁縫合部が哆開し、皮下に腸管が飛び出すようになる状態です。根治には外科治療が必要となり当院でも多くの手術を行いました。
 悪性腫瘍の手術に関しては、可能な限り早期の手術実施に努めてきました。結腸(大腸)癌に対しても腹腔鏡手術を行っておりR5年度の手術件数はR4年度と比べて若干減少 しています。乳癌の手術では、患者さんの要望に応えなるべく乳房を温存する乳房部分切除を主に行っています。


心臓血管外科 脳心臓血管センター

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 38 1.63 7.11 5.26% 75.21 パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 31 0.39 3.39 9.68% 68.29 パス
K5612イ ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 22 2.05 15.14 18.18% 75.82 パス
K6171 下肢静脈瘤手術(抜去切除術) 19 0.00 1.00 0.00% 69.89 パス
K560-22ニ オープン型ステントグラフト内挿術(上行弓部同時・その他) 15 1.53 19.27 6.67% 64.73

 腹部大動脈瘤の外科的治療のおよそ8割でステントグラフト内挿術を行っています。一方、胸部大動脈瘤でのステントグラフト内挿術は3割になります。ステントグラフト手術数は、現在では500例を超えています。当院には最先端の放射線透視装置を備えたハイブリッド手術室がありますので、精度の高い治療が可能です。福井県内で唯一の胸部大動脈瘤ステントグラフト指導医が在籍する施設であり、その責務は大きいと考えています。
 急性A型大動脈解離では、積極的にオープン型ステントグラフトを用いた上行弓部大動脈置換術を行っています。大動脈解離、大動脈瘤破裂、急性心筋梗塞といった緊急性のある疾患に対しては休日・夜間を問わず対応しています。
 内シャント造設術では自己血管を用いることを基本としています。そのため、尺側皮静脈転位法も積極的に行っています。良好な静脈がない場合には人工血管を使用しています。
 下肢静脈瘤の手術法は、局所麻酔でのストリッピング手術になります。1泊2日の入院になります。


整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K142-5 内視鏡下椎弓形成術 88 1.61 7.11 5.68% 68.88 パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 85 1.94 18.71 84.71% 80.32 パス
K134-22 内視鏡下椎間板摘出(切除)術 後方摘出術 71 1.34 6.03 2.82% 56.13 パス
K0811 人工骨頭挿入術(股) 66 2.86 19.00 80.30% 82.79 パス
K0821 人工関節置換術(股) 49 1.33 15.04 14.29% 68.80 パス

 整形外科で最も多い手術は脊柱管狭窄症に対する内視鏡下椎弓切除術等です。内視鏡下椎弓形成術を主に行っていますが、当院には脊椎内視鏡下手術が可能な医師が2名常勤しており、様々な脊椎疾患に対して積極的に内視鏡下手術を行っています。術後創部痛が少なく、回復も早いのが特徴であり、平均9日で退院可能です。 
 2番目に多い手術は大腿骨骨折に対する骨折観血的手術です。多くは高齢者の代表的な骨折である大腿骨転子部骨折であり、寝たきりにならないようにほとんどの患者さんに手術治療を行っています。福井県では多くの医療機関が連携した大腿骨頚部骨折地域連携パスを運用しており、当院は手術を担当する急性期病院となっていますので、手術後8割以上の患者さんは3週間ほどで地域連携パスを用いて回復期病院へ転院して頂き、継続的にリハビリを受けて頂いています。
 3番目に多い手術は腰椎椎間板ヘルニアに対する内視鏡下椎間板摘出術です。腰部脊柱管狭窄症と同様、腰椎椎間板ヘルニアに対しても積極的に内視鏡下手術を行っています。術後創部痛が少なく、回復も早いのが特徴であり、平均7~8日程度で退院可能です。
 4番目に多い手術は大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭挿入術です。寝たきりにならないようにほとんどの患者さんに手術治療を行っています。福井県では多くの医療機関が連携した大腿骨頚部骨折地域連携パスを運用しており、当院は手術を担当する急性期病院となっていますので、手術後8割以上の患者さんは3週間ほどで地域連携パスを用いて回復期病院へ転院して頂き、継続的にリハビリを受けて頂いています。
 5番目に多い手術は変形性股関節症や大腿骨頭壊死症に対する人工関節置換術です。当院では令和5年5月から人工股関節置換手術支援ロボット「ROSA Hip」を用いたロボット支援下人工股関節置換術を福井県で初めて導入しており、正確なインプラント設置や早期の術後回復が得られています。


脳神経外科 脳心臓血管センター

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫洗浄・除去術(穿頭による) 45 1.16 9.44 24.44% 78.13 パス
K1781 脳血管内手術(1箇所) 20 1.00 20.65 20.00% 62.25
K178-4 経皮的脳血栓回収術 20 0.65 31.45 85.00% 77.60 パス
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他のもの) 19 5.05 34.63 42.11% 73.11 パス
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 15 2.67 6.40 6.67% 72.60 パス

 慢性硬膜下血腫は高齢の患者さんに多い病気で、軽度の外傷を契機に発症します。最近、高齢化や血液を固まりにくくする薬を服用される方が増えてきたため、本疾患が増加傾向です。緊急手術の対象となる事が多く、当科でも救急搬送される入院患者さんの割合が増えてきています。通常1週間の入院となります。
 頭蓋内腫瘍摘出術は、良性腫瘍では髄膜腫や下垂体腺腫の患者さんに、悪性腫瘍では転移性脳腫瘍や膠芽腫の患者さんに多く実施しています。手術は顕微鏡・内視鏡・外視鏡やナビゲーション、モニターを駆使して安全に行っています。悪性腫瘍の場合は化学療法や放射線(陽子線)治療を含む集学的治療が必要となります。
 脳梗塞急性期の患者さんで主幹動脈閉塞している場合血栓回収術を含めカテーテルによる脳血管内手術の割合が増えており、救急搬送や他院から依頼された患者さんに実施しています。 頚動脈狭窄症に対してはカテーテルによる経皮的頚動脈ステント術を施行しています。
 未破裂や破裂(くも膜下出血を合併した)の脳動脈瘤に対してはカテーテルによる脳動脈瘤塞栓術と開頭によるクリッピング術のどちらか安全な治療法を選択しています。 ハイブリッド手術室が運用開始となり、全身麻酔下にいっそう安全・確実に治療を行っています。


泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 91 1.14 3.01 0.00% 73.36 パス
K007-2 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術 52 0.00 1.00 0.00% 71.60 パス
K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき) ) 52 0.00 1.08 0.00% 58.42 パス
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 42 1.00 7.02 0.00% 69.02 パス
K8411 経尿道的前立腺手術 電解質溶液利用のもの 33 1.18 4.88 0.00% 73.39 パス

 膀胱癌の約半数が再発することを考慮し、多くの患者さんで下半身麻酔下に尿道から内視鏡を挿入して、腫瘍を電気メスで削り取る手術を行っています。さらに、術後再発予防に抗癌剤注入も行っています。
 前立腺癌に対して陽子線治療を行っていますが、より精密に施行するため、下半身麻酔下に前立腺に3mm大の金属マーカーを留置しております。前立腺癌の治療として他には、ロボット支援下腹腔鏡下手術(お腹に6箇所穴を空けて、ロボット用手術器具を挿入して行う精緻な手術)を積極的に勧めています。
 尿路結石に対しては、令和元年10月に導入した新規の体外衝撃波破砕装置によって結石を破砕し、患者さんがなるべく早く痛みから解放されるように努めています。体外衝撃波破砕装置で砕けなかった場合等は、全身麻酔か下半身麻酔をかけて、細い内視鏡を尿管内に挿入し、レーザーで細かく砕いた後、砕石片を抽石してきます。


産科・婦人科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 71 5.77 6.72 0.00% 32.79 パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 70 0.99 3.81 0.00% 47.04 パス
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 62 8.08 7.39 0.00% 32.68 パス
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 51 1.29 4.29 0.00% 47.41 パス
K9091イ 流産手術(妊娠11週まで)(手動真空吸引法) 30 0.07 0.57 0.00% 35.77 パス

 近年出産数は減少していますが、高齢妊娠が増加してリスク(危険度が高い)のある妊婦さんが増加していることもあり、赤ちゃんに負担をかけないように帝王切開を行う機会が増えています。帝王切開による出産は自然分娩による出産より感染症、血栓症などの合併症の頻度が多少高くなるものの、経腟分娩が危険と判断される際には帝王切開を行います。選択帝王切開は、経腟分娩が難しい逆子のケース、以前の分娩が帝王切開で今回も帝王切開を選択するケースなど、あらかじめ帝王切開を予定している場合を指します。緊急帝王切開は、経腟分娩の最中に分娩が進まなかったり、胎児の調子が悪くなったりして、帝王切開が必要になる場合を指します。当院は総合周産期母子医療センターを併設しているため、超緊急の(30分以内)帝王切開による娩出を必要とする妊婦さんも搬送されてきます。
 子宮付属器とは子宮の両側にある卵巣と卵管のことです。このうち卵巣は女性の体の中で最も腫瘍(おでき)の種類が多い臓器です。がんの様なものもありますが、その頻度は低く、皮様嚢腫(卵巣内に脂肪や毛髪がたまるもの)や子宮内膜症性嚢胞(卵巣内にチョコレート色の血液がたまるもの)、あるいは、唾液のような粘液がたまったり、尿のようなさらさらした水がたまるものなどの良性腫瘍が比較的多い状況です。これらの多くは薬物では完治しないので、腹腔鏡を用いて病巣部だけ摘出したり、あるいは、付属器全部を摘出したりします。腹部をほとんど切開しないので痛みも軽度で入院期間も短くなっています。
 子宮筋腫などで子宮を摘出する手術には、お腹を10cm程度切開し子宮を摘出する方法(腹式子宮全摘出術)、お腹に一切傷をつけず膣から子宮を摘出する方法(腟式子宮全摘出術)、腹腔鏡やロボットを使って子宮を摘出する方法(腹腔鏡下腟式子宮全摘出術、ロボット支援下子宮全摘術)があります。いずれを選択するかは子宮の大きさ、癒着の程度、経腟分娩の有無などを参考に患者さんと相談しながら決めています。腹腔鏡やロボットを使って子宮を摘出する方法は、出血量の少なさ、手術侵襲の低さ、高度癒着症例にも対応できるなどの応用力の高さから、有用な方法であり、近年当院では実施回数が増えています。
 流産は妊娠の1から2割で生じます。最近は、流産が確定した後直ぐに手術による子宮内容排出を行うケースは減っています。大半のケースは数週間内に自然排出となります。自然排出に至らないケース、不完全な排出で終わるケース、何らかの理由で手術が必要なケースには流産手術が行われます。手術による合併症を減らす方法として手動真空吸引法が採用されています。


眼科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズ挿入)(その他) 388 0.09 0.90 0.00% 74.20 パス
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含むもの) 17 0.12 4.06 0.00% 70.53 パス
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他のもの) - - - - - パス
K279 硝子体切除術 - - - - -
K2193 眼瞼下垂症手術(その他のもの) - - - - - パス

白内障に対する手術が最も多く、片眼の場合は日帰りまたは1泊2日入院で、両眼の場合は3泊4日入院で治療を行っています。黄斑疾患、糖尿病網膜症など硝子体疾患に対する硝子体手術がこれに次いで多くなっています。広角眼底観察システムを用いた極小切開硝子体手術(25ゲージまたは27ゲージ)を導入しています。また、眼瞼下垂など、眼形成手術についても積極的に取り組んでいます。患者さんが早く退院できるよう、体の負担が少ない手術を心がけています。手術について不安の強いかたには、低濃度笑気による吸入麻酔をおこなっています。


耳鼻いんこう科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 42 0.98 6.83 0.00% 29.95 パス
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 34 1.00 3.18 0.00% 50.44 パス
K347-3 内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型(骨、軟骨手術) 18 1.00 3.17 0.00% 32.22 パス
K368 扁桃周囲膿瘍切開術 18 0.06 4.83 0.00% 39.72
K4611 甲状腺腫摘出術(片葉のみの場合) 18 1.00 4.28 0.00% 56.22 パス

口蓋扁桃手術: 小児の扁桃肥大では、安全性が高く術後の痛みが少ないPITA手術(口蓋扁桃・咽頭扁桃切除術)を行っています。
内視鏡下鼻・副鼻腔手術: 全例でナビゲーションを使用し安全性を確保しています。入院期間や術後治療の期間が短く満足度の高い手術となっています。
内視鏡下鼻中隔手術: 術後即座に効果が感じられる、満足度の高い手術です。前方彎曲などの難治症例にも対応します。
扁桃周囲膿瘍切開術: 治療期間の短縮のため、なるべく早く実施しています。
甲状腺腫瘍摘出術: 安全性と整容(手術跡の見た目)に配慮した手術を実施しています。
 

指標7 その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)【ファイルをダウンロード

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 30 0.23%
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 48 0.36%
異なる - -

  播種性血管内凝固症候群、敗血症、真菌合併症は、基礎疾患が重症の場合に合併する重篤な状態を示します。「入院契機と同一」とは入院時より重篤な状態であり、救急医療をより多く行っている当院では多く鳴る傾向にあります。「入院契機と異なる」は治療開始後に発生した重篤な状態です。入院時に発症していなくとも、疾患の重症化に伴い発症することはありますが、当院ではR6年度同様低水準にあります。本来の治療に医療資源を多く投入して発症を抑制できたことを意味します。
 手術・処置等の合併症とは、手術や処置を行う場合に一定の割合で発生してしまう合併症を指し、いわゆる”医療ミス”を示すものではありません。「入院契機と同一」の患者さんは、最初から合併症の治療を目的に当院に入院された患者さんであり、「入院契機と異なる」の患者さんは入院中に手術や処置等を行った後に合併症のみられた患者さんの数を意味しています。「入院契機と同一」の患者さんの中には当院の患者さんだけでなく、他の病院からの患者さんも数多く含まれています。R5年度の33例からR6年度は48例と増加していますが、他の医療機関では対応不可能な多疾患(心臓が悪いがん疾患、精神病をもつ心臓病など)に罹患した患者さんが多いことを示していると推測しています。
 

医療の質指標

リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率【ファイルをダウンロード】 

肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
1,660 1,588 95.66%

肺血栓塞栓症はエコノミークラス症候群ともいわれ、特に下肢の静脈血栓が流れて肺の血管に詰まることで呼吸困難や胸痛を引き起こし、死に至ることもある疾患です。寝たきりの方や手術後に発症することが多く、肺血栓塞栓症の発生リスクが高い手術を施行する場合は、術前、術中、術後において予防対策を実施することが有効とされています。
予防対策としては弾性ストッキングの着用や間歇的空気圧迫装置、抗凝固薬の投与があります。
当院での予防対策実施率は 95.66%と非常に高水準となっています。

血液培養2セット実施率 【ファイルをダウンロード】 

血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
3,591 2,583 71.93%
血液培養は、血液中から原因微生物を捉え、確定診断から最適に治療に導くことができる重要な検査の一つです。近年、感染症の診断精度を高めるために、血液培養を適正化する手段のひとつである「血液培養の複数セット採取」を推進する医療機関が増えています。血液培養を1セット採取した場合と2セット採取した場合とでは検出率に差が生じ、2セット以上採取したほうがより正確に原因微生物を特定できるため、2セット以上を行うことが推奨されています。
 
当院の特徴として、小児科での血液培養(小児では1セットが標準)の数が多いため、実施率が若干低くなっています。また令和6年度は血液培養ボトルの供給不足も重なって、やむを得ず1セットしか採取できない時期があり、実施率が低くなっております。今後もより高い水準を維持できるように啓蒙活動を行っていきます。
 

広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率  【ファイルをダウンロード】 

広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
1,299 1,077 82.91%
複数菌腫に効果がある広域抗菌薬を使用し続けると、菌が耐性を獲得してしまうことがあります。細菌培養検査を行うことで、患者さんが感染している菌腫を同定して、菌種に対応したより狭い効果的な薬剤を使用することで耐性菌の発生を減らすことができます。そのため、広域抗菌薬を使用するときには、投与開始前に細菌培養検査を行う事が重要です。
 
当院の特徴として 広域抗菌薬使用時には適切に細菌培養検査を行っており、高い実施率となっています。

転倒・転落発生率  【ファイルをダウンロード】 

院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
139,086 245 1.76%
近年患者の高齢化により転棟・転落の危険性はますます増大傾向にあります。当院では離床キャッチベッドの導入により患者が離床する際に危惧される転倒・転落を未然に防ぐ努力を行ってきました。 令和6年度は身体的拘束最小化チームを設置し、身体拘束に対する職員の意識改革を行い、身体拘束率は令和5年度に比べ低下しました。 身体拘束率の低下により転棟・転落のリスクは増大する可能性がありますが、リエゾン回診によって、せん妄患者の早期発見とせん妄対策によって身体拘束率が低下しているにも拘わらず転倒・転落率は減少傾向にあります。
 
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率  ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
139,086 21 0.15%
近年患者の高齢化により転棟・転落の危険性はますます増大傾向にあります。転倒・転落に伴い骨折等のレベル3以上の重大シンシデントが発生する可能性もあります。 当院では離床キャッチベッドの導入により患者が離床する際に危惧される転倒・転落を未然に防ぐ努力を行ってきました。 令和6年度は身体的拘束最小化チームを設置し、身体拘束に対する職員の意識改革を行い、身体拘束率は令和5年度に比べ低下しました。 身体拘束率の低下により転棟・転落のリスクは増大する可能性がありますが、リエゾン回診によって、せん妄患者の早期発見とせん妄対策によって身体拘束率が低下しているにも拘わらず転倒・転落率は減少傾向にあります。
 
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率  ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
1,864 1,790 96.03%
手術後の手術部位感染を予防する対策の一つとして、手術前後での予防的抗菌薬の投与があります。手術開始から終了後2~3時間の間、体内の抗菌薬濃度を適切に保つことで手術部位感染を予防できる可能性が高くなります。
令和6年度、手術スタートからさかのぼって1時間以内に予防目的の抗菌薬投与を行った割合は96%と高率でした。
1時間以内に投与できなかった症例を精査し、さらなる改善に向けて活動しています。
 
 d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率  ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
174,425 55 0.03%
 超高齢化社会が到来しており、また当院は地域基幹病院のため、褥瘡ができやすい重症患者さまの入院が多い傾向にありますが、そのような状況でも褥瘡の入院後新規発症の指標数値は低く維持されています。
 褥瘡管理チームや各病棟での医療従事者のケア対応を油断せず継続し、今後も引き続き良好な治療水準を維持出来るように、病院全体で取り組みを継続してまいります。

65歳以上の入院早期の栄養アセスメント実施割合  ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
7,682 6,265 81.55%
医療の目的は病気を治療することですが、栄養状態が悪ければ入院日数が長くなり、治療の効果に影響することが知られています。入院時に患者の栄養状態を適確に判断し、早期から栄養管理を行うことで、病状の改善や栄養不良による治癒の遅れを解消し、感染症などの合併症を防ぐことにつながります。
 
当院では、入院日に独自に作成した栄養スクリーニングツールであるS-NUST(Scored Nutritional Screening Tool)による栄養スクリーニング、栄養アセスメントを実施し、低栄養が疑われる症例に対してはNST(栄養サポートチーム)でより詳しく栄養アセスメントを実施し、栄養状態の改善、維持に努めています。入院中は栄養状態の悪化を見逃さないよう、定期的にS-NUSTによる栄養評価を行っています。
 
例外として入院予定期間3日以内の短期入院は、栄養管理の対象としていません。
 
身体的拘束の実施率  ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
178,978 22,791 12.73%
身体的拘束は患者さんの安全確保を目的にやむを得ず行いますが、人間の尊厳に関わる重要な課題であり、また、拘束に伴う不具合もあります。よって身体的拘束を必要としない医療や拘束となっても早期解除する努力が必要となります。実施率は入院患者延べ数のうち身体的拘束を実施した患者延べ数の割合を示します。より低い値が望ましい値になります。 身体的拘束最小化チームを設置して数カ月ですが、拘束率は低下傾向にあります。まず拘束を必要とする状態の予防を第一とし、やむを得ず拘束を実施する場合には拘束の3要件に照らし必要性を多職種で検討し、拘束後は速やかな解除に努めております。
 

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